インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

美しい映画になら微笑むがよい

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
   著者は『荷風と東京』で読売文学賞、『林芙美子の昭和』で毎日出版文化賞を受賞した評論家・エッセイストであり、映画に関する文章も数多く発表している。本書はいわゆるミニシアター系の映画を中心に取り上げた評論集で、邦画も含めれば半数以上がアジアの作品について書かれたものだ。随所に映画監督へのインタビューも挿入されるが、その顔ぶれもチャン・イーモウ、ダン・シージェ、イ・ジョンヒャンなど、アジアの注目される映画監督ばかりである。

   たとえばチャン・イーモウ監督の『あの子を探して』に寄せた文章は、おおまかなストーリーを興を削がない程度に紹介し、そこに著者の所見を付け加えるといったシンプルな構成だ。宣伝文めいたあざとさも、いたずらに難解な映画論もそこには見られない。斜に構えることなく、映画の魅力そのものを伝えようとする姿勢に好感を持つ読者も多いはずだ。強いて言えば、非欧米圏の映画の素朴な味わいを賞賛しがちなその論調に注文を付けたくなる向きもあろう。だがミニシアターで上映される映画の多くが、ハリウッド映画には欠ける傾向のある詩情や素朴さを評価されていること、本書では基本的に著者の好む映画を取り上げ、評していることなどを考えれば当然のことでもある。

   本書に収録された文章は、その多くが劇場用のパンフレットのために書かれたものである。著者自身、10代のころから映画館でパンフレットを買うことを楽しみにしていたというから、そこには映画館という空間そのものへの愛着も含まれているのだろう。著者の考える映画評とは、1本の作品に寄り添い丁寧に観賞するものであるというが、その狙いどおり読んだら観たくなる、観たら読みたくなる、理想的な映画評論集となっている。(工藤 渉)

優れたアジア映画の評論集 ★★★★★
劇場用パンフの寄せ集めであるから、一冊の本としてのまとまりは
ありません。
アジア映画からハリウッド映画まで2000年前後の少し古い作品を
扱っているので、もはや一部の映画解説は読む気が起きないものも
ありました。

けれど、中国人、韓国人監督とのインタヴューの部分は実に読み応えが
あって素晴らしかった。ほとんどの監督が真摯に著者の質問に答え、
監督側からも著者に質問を投げる。
川本氏の映画評論家としての優れた能力と誠実さがあればこそ成り立つ
のでしょう。

ハリウッド映画の名解説者として名高い氏だが、今後もこのような優れた
アジア映画の評論集が出版されることを願います。