著者達がこの本を書くきっかけとなった秘密文書自体が
後年ねつ造されたものらしいのですが、取り上げている内容自体は
面白いところもあるので、もう少し自然な日本語で翻訳出来る方で
再出版して欲しいです。
ところが基礎レベルは要求されるのに、肝心の「謎」の究明、証明というレベルでは、ド素人でも簡単に突っ込めるレベルの大穴小穴雨あられ。
特に目につくのは、話しの発端でもある「秘密文書」。
「ダビンチ・コード」はこの中の「レオナルド・ダ・ビンチ」を引っ張り出してるわけですが、本書におけるこの文書自体の信憑性の証明記述は、なぜそれが「正しい事」になるのかという次なる疑問を生産するだけ。
「秘密文書」の記述上最後の総長はジャン・コクトー(1918-)と記述されているから、文書がかかれたのは1918年以降。つまり書物という外部知識DBを誰でもが手に取れる時代。「秘密文書」を書いた人物が、公的に手に入るもしくはよく知っている血統図上の人物の名前の間に、つじつま合わせの往時の有名人の名前を足して「箔」つけてみました、としても、おかしくない時代。
本書がそんな時代に書かれた文書の歴史的正当性を証明できているとはとても言えない。
発想、娯楽としての話題提起という観点ではおもしろいのだけれど