般若心経を一休さんがやさしく説いていました
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まあまあ、こんな優しい本があったのかと、手に取って、愛おしんでおります。穏やかな野仏の写真と、一休禅師作の道歌を含め、易しく説いた「般若心経」なのです。
これまでの古い言葉遣いを【平成の語調】に改め、21世紀に生きる現代の人々にも『般若心経』が理解できるように一休さんがまとめられたものです。
「摩訶」とは、「大きい」ということで、ここでは「大きな心」や「大心」を意味します。
「般若」とは、「全てのものごとを包容する仏の智慧」という意味です。
「波羅蜜多」とは、「生死苦界を越えた悟りの世界・彼岸に至る」という意味です。
「心経」とは、「私たちが持つべき自分の心のあり方」【実体のないもの】ということです。
一休さんと聞けば、誰でも「とんちの一休さん」を思い出すでしょう。この「とんち」というのが、実は、『般若心経』で説く「般若(般若の智慧)」なのです。時には将軍のような権力者たちでさえも負かせてしまう痛快な「とんち」は、子供はもちろん、大人たちの心にも、何かスッとするものを感じさせます。
「己事究明(自分自身を徹底的に追求して明らかにすること)」を実践し、座禅一筋に厳しい禅の修行に努めます。挫けずに生き抜く一休さんは「雨降らば降れ、風吹けば吹け」迷いの世界を楽しむばかりだと前向きに生きるのが一休さんの悟り「般若の智慧」なのです。
目に見えるものは空…その「空の智慧(般若の智慧)」…混迷の現代を強く生きるために「般若心経」の神髄を一休さんに語ってもらうのに、何の抵抗がありましょうや。