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ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂 (Shotor Museum)

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 小学館
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中世絵画の傑作を堪能しよう ★★★★★
 スクロヴェーニ礼拝堂は、イタリア北部のパドヴァにあるその名の通りスクロヴェーニ家の私設礼拝堂。1300〜1305年にかけて建設された聖堂がほぼそのままの形で残っており教会建築の作例としても貴重だが、それ以上に中世末期の画家ジョットによるとされる内部壁面を完全に埋め尽くす壮麗な装飾で有名である。本書ではヨアキム伝・マリア伝・キリスト伝を描いた37場面を含む52場面を図版を挙げて解説し、さらにジョットの生涯や中世末期からルネサンスに至る後代への影響についても触れている。
 スクロヴェーニ礼拝堂はジョットの代表作で美術全集や名画案内にも度々登場するのだが、残念なことに1つないし数点の場面を見ることはあっても、全ての場面を順を追って、まとめて見ることができるものがない。それに対してこの本は全ての場面を描かれた物語の順に全部見ることができるので、1場面を見るだけでは気付かない暗示的な部分や全体構成の巧さも読み取ることができる。また解説中心ではなく絵を大きく取り上げ、そこに短い解説を付すというスタイルも魅力的だ。各場面の解説は特に典拠を必要とするもの以外は聖書からの引用を行わず、あくまでも絵画を鑑賞するという視座に立って編集されている。
 大変よくできた本なのだが、残念な点もいくつかある。まず、ジョットの描いた物語は左から右に進行するのに対し、この本は縦書き・右開きなので進行方向が逆になってしまっていること。そしてもう1つは天井に描かれた「再臨のキリスト」について、触れてはいるものの各場面より軽い扱いになってしまっていることだ。ただこうした不足はあるものの巻頭と巻末に添えられたジョットの生涯やこの礼拝堂の意義に関する解説は非常に充実しており、それが不足分をカヴァーしていると評価していいだろう。美術、特に中世後期の絵画に興味がある人にはぜひお勧めしたい1冊だ。