美しい優しさ
★★★★★
1996年1月ラパスヴィルにて録音。ピアノはパーヴェル・ギリロフ。ブラームスの作品を集めたアルバムだがやはりメインは、『チェロ版』ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調作品78『雨の歌』だろう。
この曲の持つ優美な旋律はマイスキーのチェロにピッタリだが、それだけでは飽きたらずマイスキーはこのアルバムに自身が選び多くの秘蔵写真を入れた詩入りの『Regenlied』と題するミニ・フォト・アルバムを同封している。この中で『雨の歌』には二人の子供の写真とともにクラウス・グロートのこんな詩が添えられている。
雨よ降れ、そして私が子供の頃に、
雨が砂の中で泡立つ時に、
その時に見た夢を
再びあらわしておくれ!
うっとうしい夏の暑さが
新鮮な冷しさと物うげに争うとき、
そして輝く木の葉が露にぬれ、
苗床の青さが濃くなるとき、
マイスキーは過去のチェリストたちとは全く違う。美しい優しさを追い求める。