全集の発売を
★★★★☆
桂吉朝は間違いなく上方落語の大看板となるはずの大器であった。故にその早逝を惜しむ声は少なくない。吉朝自身も、ある時期を境に米朝落語の後継者として己の芸を磨くことに専念したため、落語会には多数出演したが、映像として残っているものは多くない。しかし、TBS落語研究会と読売テレビ平成紅梅亭には数少ない吉朝の貴重な映像が残されており、今回のDVDの一部も平成紅梅亭の映像を収録したものである。
吉朝の芸にハズレはない。その時期その時期で常に最高の芸を演じていた。しかし、その芸は常に進化し続けていた。早逝直前までライブで吉朝の芸を見続けた者としては、今回収録された映像が、短い生涯だった彼の最高の芸ではないことが非常に残念である。このような芸が吉朝の芸の真髄であったと後世に残ることは残念でならない。選者が、なぜこのような芸を収録したのか疑問である。
ともあれ、DVDが発売されたことに意義があると思い星4つにしたが、今後、選者なる者が取捨選択した選集などではなく、全ての映像を収録した全集を発売して欲しい。採算面で難しいのであれば、BOXセットでセット数限定でもいい。吉朝全集の発売を望んでいる落語ファンは決して少なくない。完売は保証できる。
残念・・・
★★★★☆
独演会に足を運んだ大ファンとしては本当に残念でなりません。
米朝一門の王道だと思っていましたから。
待ちに待ったDVDですが、熱演ぶりは伺えるものの出来はもうひとつと言うしかありません。
贔屓目で星4つにしておきます。
吉朝落語は、こんなもんじゃあありません。
次回作の発売を待ちます。
待ちに待った初DVD
★★★★★
落語はライブが一番。演者と観客が交わす空気が笑いを増幅する。・・・なのに、このDVDは笑える。
歌舞伎の台詞と所作が詰め込まれた「蛸芝居」は、その声と間の良さ、動きの美しさでいつまでも見ていたい気にさせる。登場人物ひとりひとりが、人格をもってそこに居るようである。鳴り物も吉朝のこだわりに十分に応えているのがスゴイ。
「天災」は残念ながら音がいいとは言えない。マイクで集音したのではなく、客席で録音したかのようなざわつきが感じられる。しかし、そんなことも気にならないほど可笑しい。高座にかけることの少なかったネタである点にも価値があろう。
吉朝の高座にはハズレがなかった。軽妙洒脱な吉朝ワールド全開のサンケイホールでの独演会や、毎回思い入れのあるネタを披露してくれた「米朝吉朝二人会」など、一つでも多くのDVD化を切に望む。
「厳選」せずに「全集」を出して
★★★★★
星5個の理由・・・1.桂吉朝のDVDがとにかく発売されたこと。2.吉朝の映像が多く残された「平成紅梅亭」(よみうりテレビ)のDVD化に道を開いた点を高く評価して。
しかし、桂吉朝のDVDとしては、せいぜい星4個。『天災』『蛸芝居』の2演目ともかなり水準は高いが、吉朝の実力はこの程度ではないだろう。
『蛸芝居』も、BS−i「落語研究会」の追悼番組の方が、はるかに出来が良かった。このDVDの『蛸芝居』は1997年、「落語研究会」は2000年収録だから無理もない。吉朝は飛躍の途上で早逝した落語家であり、
新しい映像ほど芸のレベルは高いのが当然なのである。本当に「厳選」したのか?…
しかし本当は、「厳選」する必要はない。「平成紅梅亭」「落語研究会」で吉朝が演じた全演目と、それ以外で各放送局が持っている良質の映像を、「20枚組」とか「30枚組」の「全集」にして発売すればいいのである。
採算が心配なら、売れる数だけ限定版にして、損をしない値段を付ければいい。本当にファンが望むものを出してほしい。
嗚呼、吉朝はん・・・
★★★★★
はじめて観ました「蛸芝居」芝居噺のあの仕草…。「天災」のあのエエ間…。
ホンマに泣けてきました。面白いのに、泣けてきました。計6回観て。もう次は泣きません。ありがとうさん、吉朝はん。米朝事務所様、東芝EMI様、お願いですから「DVD吉朝庵」続編出して下さいます様、心よりお願い致します。ホンマにお願い致します。