たしかに，本書をいくら精読しても，「ソフトウェアのアウトプットを読めるようにならない」し「ましてや実務で分析できるようにはならない」とは思います。

しかし，私は，本書の価値は，様々な，古典的な手法と最新の手法を
平易に紹介している点にあると思っています．
本書があれば，どのような分析手法が，どのような場面で使えるのかの
概略を理解することができます．
実際に分析したいという欲求がでれば，
引用文献を読めばいいように，記載されております．

これほど多くの手法を，著者の趣味も混じりつつ，
平易に解説していただいているので，
専門外の人間が読んでも，楽しめる，良書だと私は信じております．

最新のものから伝統的なものまで、購買行動の分析に応用される統計分析／データマイニングが、購買心理の分析例として網羅的に紹介されている。

本書は、ベイジアンネットや傾向スコアなど、まだ取り上げられることの少ない手法が平易に紹介されている点で希少価値がある。だが、因子分析、クラスター分析、コレスポンデンス分析など、おなじみの手法に関してはすでに多くの本で詳細に解説されているので、本書の価値は薄い。また、遺伝ACEモデルや項目反応理論などは購買心理の分析にどう関係するのかわからい手法も含まれていた（著者の趣味で取り上げたのだろうか？）。

いずれにしても、本書は統計ハンドブックではなので、ソフトウェアのアウトプットを読めるようにならないし、ましてや実務で分析できるようにはならない。本書は、現在どういう分析手法があるのか、最新の動向を広く大まかに知りたい人向けのものだ。実務家は書店で中身を確認してから購入を決めたほうがいい。