怖くて笑えて、最後に癒される短編集
★★★★★
内容は講談社、集英社、太田出版の雑誌に5年前から2年前までに掲載された短編を集めており、筒井康隆さんの短編集と同じ位、高水準かつ多様で、怖くて笑えて呆気に取られ、癒される作品が収録されています。
前半の3編はホラー。それもサイコ・ホラーから幽霊、伝奇物風と引き出しが多く、単純な怖さでは表題作の「ユーレイ窓」が抜きん出て居ます。
4編目「逃げろ」はホラーと言って良いでしょうが、最後の1コマでは爆笑してしまいました。
5編目の「謀反ラーメン説」は織田信長と明智光秀の確執に光秀のラーメン作りへの偏愛をこじつけた奇々怪々な作品。
6編目「ミント」は作者得意の心理を揺さぶるギャグ。小道具のミントタブレットの使い方が秀逸です。
7編目「手をつなごう」だけは他の6編と異なり青年誌ではなく少女誌に掲載された為か、思春期の少年の心の襞を解きほぐし、気分が軽くなる良い話。作者もいつもの毒牙と爪は隠しています。
どれを読んでも唸らされる凄い短編集です。お薦めですがホラーが生理的に苦手な方は前半の作品にご注意を。