12か月それぞれの、パリの風物詩、その月の主な守護聖人・聖女に関するエピソードや救難分野の紹介、むかしの農民たちがその一年の収穫の安否を気にしながら言い伝えてきた農事暦(その季節の気候と作物の関係に関することわざのようなもの)から、その月にまつわる文化人の紹介まで、これを読めば1年をとおしてのフランス人の暮らしぶりや気質がある程度理解できます。
特に、宗教や守護聖人の話は大変興味深いです。絵画の背景や教会・パリの通りの名前、フランス人に多い名前がわかったり。それに、昔のことわざなどには、時期をあらわすのに「聖誰××の日から聖○○の日まで」なんてのが多いらしく、守護聖人を知っておくことはフランス文化の理解に重要な役割を果たすようです。
無宗教のわたしにとっては、この本のおかげで謝肉祭や復活祭などの背景がすんなり理解できました。ユニークで案外現代的で合理的な守護聖人の救難分野を読んで、1年365日全員の守護聖人のエピソードが知りたくなりました。次に読むのは、同氏著のバースデイ・セイントかな。