内容は良いが、初版の校正は不十分
★★★☆☆
「真空技術の利用分野はあらゆる業種に大きな広がりをみせ、今までほとんど真空とは縁のなかった分野にまで真空が用いられるようになってきました」。
真空の定義、真空度の違いによる特性、真空を作ったり測定したりする様々な方法、装置や材料や部品やリーク防止法、真空技術の様々な応用分野について、要点をうまくまとめてわかりやすく解説してある本である。初心者を念頭に置きながらも、それだけにとどまった解説にはなっていない。特に真空を生み出す方式や装置の解説は、豊富な図や表を用いてなかなか詳しい。
特に装置に関するところは、私には難しかった。ただ、扱っている内容が幅広くて面白いものもいろいろ含まれていることと、特に実用面を重視してあるので、興味深く読むことができた。内容については、なかなか良い本だと思う。
一方、本書で残念なのは、校正が不十分なこと。私は真空の専門家ではないのでそのようなところを除く一般的な部分に限っても、例えば以下のような点が挙げられる。
・あきらかに文章がおかしかったり、切れていたりするところが時々ある。
・同じ深さの箇条書きなのに、(1)になっていたり、1になっていたり、丸で囲んだ1になっていたり、(a)になっていたりする。
・短い箇条書きなのに、「。」で終わっていたり、終わっていなかったり。
・人名含む英語表記や略称の表記方法が不統一。
・句読点を付けるルールがあいまい。また、中には「。」ではなく、「.」で終わっているところも数か所ある。
・他にも、「0-リング」が次の行では「0リング」になっていたりというような細かいところも何箇所か気になる。
初版に誤植や誤記はつきものですが、この本は特に校正の不徹底さが、かなり目につきます。