ものを書くのに、いつも医局で教えられるような論文の書き方がされるわけではない。日本の医者・医学生が異常であるという「感じ」で十分な場合もあるのである。医者の側からの上記のような毎度の主張も、日本の医者に特有な視野の狭さの表れである。
日本の医者が異常であるという、同じ事をいろいろな人が主張している事実を医者たちは何と見るのか。それらの主張が不当であるとばかり言っていないで、自分たちの実態を少しは振り返ってみる気持ちにはならないのか。
日本の医者がなんと思おうと、彼らが勉強もせず、人間性にも乏しく、世界の医療水準からはるかに遅れている事実に、一般人は気づき始めている。これは、紛れもない事実である。この本は、「医者信仰」を破壊する意味での原動力の一部になっている。
もう一つ医者が後生大事に主張するのが、「代案を出せ」である。この本には代案は出されていないのかも知れない。しかし、著者の意図は、医学部の実態のわかりやすい紹介であるとすれば、それで十分に意義のあることであり、成功していると思う。
今後、医学部の問題、医者のモラル、能力の問題は、ますます注目されていくべきであると思うが、この本のような「暴露」本が次々に出てきてももらいたい。医者もそのような本を少しは読んで、自分たちが今どのように見られているのか、その原因は何なのか真剣に考えてほしい。