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働こうとしない人たち - 拒絶性と自己愛性 (中公新書ラクレ (178))

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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働かない人々の心理 ★★★☆☆
本書は「働かない人(ニート)」に関する書籍だが、社会や教育問題で論じるものではなく、臨床心理士である著者が、働こうとしない若者を心理学という側面で分析を試みたものである。
冒頭、「やりたいことがなくて働かない」A君と、「自分のやりたいことにこだわりすぎて働かない」B子さんの例を提示する。「やりたいことがない」「やりたいことにこだわりすぎる」という真逆の性質を持ちながら、どちらも「働いていない」という同じ状態にある。著者は「依存性」という軸を設け、心理学的な7つのパーソナリティーのケーススタディーを追っていき、そのうえで「やりたいことがなくて働かない」タイプを「拒絶性スタイル」、「やりたいことにこだわりすぎて働かない」タイプを「自己愛性スタイル」の二つのタイプに大別し、分析を行う。
「ニート」を社会問題などではなく、心理学という視点で分析を行っているという点で、この書籍の試みは新しい。しかし、文中に出てくるケーススタディーは実際に働いている人の「問題のある働きぶり」に関することが多く、しかも外国のケースが多い。ケーススタディーとそれに関する解説が多すぎるため、書籍全体を通してやや散漫な印象を受ける。また「対処法を提言」とカバーには書かれているが、時々、思いついたように挿入されるだけで、しかも実効性に薄いものばかりなのが残念だった。
ただ、著者の最後の言葉は心にすとんと落ちてくる。「一見単純な労働の中にも喜びがある」、「面白い仕事をするのではなく、今やっている仕事の面白味を発見しよう」。
「働かない人たち」を啓蒙する、あるいは働くための一歩を踏み出させることを目的とするのなら、心理学的エピソードをいくつも並べるよりも、このようなメッセージの方が有効なのではないかと感じた。著者の仕事と実体験を軸に据え、心理学のエピソードはその肉づけとする。著者はそう書くべきであった。
自己中はイケナイヨ的な保守的な ★★☆☆☆
いきすぎた個人主義に対する警鐘ですかね。
「自分と他人」は違うという「自意識」は別に悪いことじゃない。凡庸な思考ですが、むしろ無害ですし、それに埋没することは心地よいことです。まだ他人の視線を感じる分救いがある。危険なのは、他者を超越してしまうことです。自意識が完全になくなってる人です。そういう人々にこのような精神分析学者の言葉なんてかなんら実効性が低い。彼らが、既存のシステムを超えたところに自分を置いてるから、心理学なんてはなっからアテにしてない。処方箋なんてないのに。

これじゃただニートやひきこもりを「馬鹿」にしてるだけです。分類されて嫌がる連中を分類したら、一番傷つくの彼らじゃないでしょいか?心理学というものが人を追い詰めるだけにあるなら、ないほうがいいです。人を救済するとう本来の目的からズレて、これでは彼らを不安にさせるだけじゃないでしょう?

個人的な快楽をよしとしない連中がすきそうな本です。

ミーイズムか進むと必ずこういう、「全体に迎合」せよ的な連中がでてくる。アメリカ7の70年代〜80年代への保守化の流れと今の日本は似ている。

この手の書物は警戒しなければいけません。
『自分探し』がやめられない若者へ ★★★★☆
『自分探し』を続けて転職を繰り返す若者、引きこもり族や自己陶酔型人間に対して、彼らに近い立場で一つの提言をしている良書である。

最初に、著者が今まで行ってきたカウンセリングを元に、さまざまな事例を述べている。その後、ソフトでかつ的確な提言をしているため、提言自体は当たり前だと感じるが、そこが改めて彼らにとって抜けている部分であり重要な部分であると納得させられる。

著者は、暗に『夢・希望』を持ちながら生きていくことの意味を説いている。夢と現実をギャップを埋めていきながら、その人にとって真に幸せな社会生活を送っていく上での手引書となろう。

受け入れられませんでした ★★☆☆☆
扱っているテーマに興味を持ち読んでみました。
内容は良いのでしょうが、
精神的にしんどい人を少し否定するような感じの書き方がいくつかあったので(あくまでの私から見てですが)、
受け入れられませんでした。
「自分探しのための労働」ではなく、「生存としての労働」を与えよ ★★★★☆
本書は、カウンセラーとしての著者が、「働こうとしない人たち」とのカウンセリングの経験から、無業の原因となる心理構造を明らかにしたものである。

さて、本書が明らかにする、こうした人々の心理構造は、評者の理解では、「実力の伴わない自己能力の過大評価」というべきものであろう。これは、「脚光を浴びる存在」になることを希望しているものの、そうした存在になるための、膨大な努力を行おうとはせず、常に入口で(当然ながら)挫折し、次なる目標を設定し、また挫折を繰り返すという、永遠の「自分探しのスパイラル」に陥っているというものである。

この上で、著者は、彼らの希望する「夢」の実現へ向けて、具体的な行動を推奨することを提言している。

確かに、心理学的にはこうした対処方針しかないと思われると同時に、こうした分析以上の原因を追究することは、当然著者の力量の範囲外であるのはもちろんであるが、やはり、「働こうとしない人々」対策には、社会経済的な側面を考察せざるを得ないと思われる。

すなわち、「働かなくても生活できる」ことが可能であるということ、いわば、自らの意思で無職状態を選択しても、納税が免除されるだけでなく、各種社会保障がほとんど無料に近い形で享受でき、また、親と同居して、食費・住居費の費用を一切負担する必要がない、「福祉依存」「親依存」の問題が指摘されなくてはならないのではないか。

仮に、最低限の労働をしなければ、最低限の生活が保障されないという制度設計を行えば、そもそも具体的な人生設計を構築することができず、「妄想の全能感」から脱却できない、こうした「働こうとしない人たち」の消滅に、相当大きな効果を生み出すのではないか。要するに、評者としては、「自分探しのための労働」の余裕を一切与えず、「生存としての労働」の状態を生み出すことが、唯一の解決策ではないかと思われる。