前作はスピード感溢れ、単純に激しかった。
今作は比べ物にならないほど疾走感が削ぎ落とされています。
正直前作の方が個人的に好みなんですが、曲の展開は今作のほうがより練りこまれた感じです。
よりカオスな、縦横無尽に駆け巡った感じがします。キャッチーだ、分かりやすい曲だとは決して言えないです。
一回聴いてちょっと良く分かんなかった、もう一度聴いてみよう、もう一度・・・と繰り返して聴くうちにどっぷりはまってしまう感じです。

前作のサウンドや展開を色濃く残しながら一瞬で終わってしまう＃4や、リフのテクニカルさが印象的な＃9、曲名もさることながら、サウンドの展開とVo.の具合が意味不明すぎる＃10が個人的にオススメです。

若いだけ有って前作に比べて格段に演奏が滑らかになっており、前作までのちょっと無理矢理な展開やぎこちない演奏も魅力と思わせる荒さも良かったのですが、メロは前作よりキャッチーになり、前作のＢＬＯＯＤ　ＢＲＯＴＨＥＲＳ×ＭＡＲＳ　ＶＯＲＴＡ的なサウンドに加え、確実に最近聞いて触発されたんだろうなというくらいＮＩＬＥっぽいブルデス（本家よりもちろん軽いです）から、ＵＫマイナーフォーク、エレトロニカテイストも加わっており、
マーズ色はやはり強いですがＣＡＶＥ　ＩＮ寄りな感じもかなりあります。その時好きな音楽を、即自分たちの曲に反映させるバンドだと思うのですが（１ｓｔの頃はトレイルオブが好きっだたんでしょうね。）しかし、いいトコ取りだけで終わっていないし、音楽への愛情も非常に感じられるので、着実にステップアップしてるんじゃないでしょうか？最近は引き出しの尽きてきたっぽいＣＡＶＥ　ＩＮより将来期待出来ます。ライブ見ないと判りませんが。ただ、やはりナニがスゴいって値段。安すぎ、おまけでライブ盤ついてるし、、儲けがあるんでしょうか？もちろん安いのはありがたいです。

前作"Doppelganger"が、『プログレの構築美へハードコアの激情を絡めつける』とでも言うべく、互いに相反する要素を巧みに『融合』させた作品だとすれば、今作は全くその真逆を行っている。バラっバラのピースを意図的に激突させ、そこに生じる出鱈目な(そして激烈な)反応を楽しむように、次から次へと異常なテンションで継ぎ接ぎされていく楽曲群。そこから放出されるのは、強烈な(そしてどう見ても確信犯的な)『違和感』。

プログレッシブでありヘヴィロックでもデスメタルでもあり、また一方でカオティックな狂騒を演じつつメロディアスに場を揺らしもする音のピースは、ものの見事にどれもが全く手を取り合おうとしない。ひたすらにブツかり激突しつつ展開（というか転回）する様は、ワラケルほどにグッチャグチャ。

え？Weezer！？と思うようなセンチなメロ/歌詞を、ドシャリと拡散するディストーションに乗せて謳うTr."Oh, The Casino!"、シンプルなギター・サウンドに合わせてしっとりとした憂いを放つTr.11"Caught Up"といった意外な表情をチラつかせつつ、しかし基本カオス満開でアルバムは驀進。作品中盤から後半へと進むにつれ、ヘヴィネスを増したメタリック・リフの暴虐っぷりが非常に劇的にキマり始め、炸裂する音の刺激性はどんどんどんどんと昂まっていくよう。時にLed Zeppelinの硬式飛行船がBlack Sabbathのトレーラーと正面衝突して大破するような、非常識的でトンデモな音が連続して創造されていく瞬間には、もう笑うしかない。

the fall of troyの新作です。

あいわらず変わらぬクォリティを発揮しています。ダークでかつきれいな音楽で私的にはかなり良作だと思います。前作等好きな方は買って間違いないと思います。あ、Myspaseで視聴できますので聞いてから判断してもいいかもしれませんね。

あまりいい作品が続くことがないバンドばっかりのこのご時世に喝を入れてくれる作品になったのではないでしょうか？ぜひ、聴いてみてください。