忙しい日々の中で時にはゆったり時間を通過したい、感じたい
そんな時に聴いてみてはいかがでしょうか
目を閉じればそこに貴方が心和む景色が現れます・・きっと！

イタリアの若き名手である。このボッソといい、イタリア系米人のドミニック・ファリナッチといい、イタリア人には、なぜかトランペットなどの管楽器の名手が多い。で、このボッソ、選曲といい、ミュートの美しさといい、日本人の琴線に触れるであろうアルバムである。忙しい一日の終わりに、アルコール片手に聴くのに向いている（松本敏之）

Fabrizio Bosso。コアなジャズトランペットファンであればこの数年この人の参加したアルバムが山程リリースされていたことを知っているはずだ。そしてこのアルバムも実は2-3ヶ月前からyou've Changedというタイトルで輸入盤で出ていたことも知っているだろう。かく言う私もその輸入盤で持っている。
輸入盤の人気が廃れないのはこの一点に尽きる。海外制作のアルバムにはレコードレーベルなりプロデューサーの意向よりも演奏家のその時点でやりたいことが素直に出ているものが多く、また、海外のミュージシャンの旬な情報が素直に入ってくるからだ。このアルバムは某誌のゴールドディスクというレッテルも貼られた（何故リリース前にそういう決定がされるのか私には理解できない）ので、国内盤も売れるだろうし、ヨーロッパの若い名手としてのファブリツィオの名前も浸透するだろう。でも、日本のレーベルの意向でタイトルやジャケットを変更するというのはファブリツィオやEMI-Italyの本来の意匠を踏みにじるものではないのだろうか。そこに疑念は残るし、今の日本のレコード業界の姿が写っているようにも見えます。

それはそれとして、本作はイタリアや南米系、すなわちラテンな曲想の音楽とスタンダードが良いバランスで収録されており、アメリカのラッパとはかなり違う印象を受けます。多彩なミュートの使用も含めウィントンからの様々な影響も伺えます。国内盤リリースのやりかたには承服しがたいのですが、内容は非常に良いです。万人にお勧めできます。この人は巧い。