古くて新しい算数学習のカイゼン
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算数や理科の計算問題が苦手な子供の頭の中を整理できる、シンプルでいて示唆に富んだ本。
また、ひと手間増やし、混乱する要素を整理し確実性を高めるという、ビジネス書で流行っている「見える化」にも通じる内容だ。
田の字表で扱える問題は比例や反比例の問題だ。
そして、中学校の数学や理科で出てくる計算問題の多くが比例や反比例の問題だから、その多くが「田の字表」でカバー出来るという理屈だ。
田の字表を使うには、問題文に出てくる計算要素を田の字表の空欄に当てはめ、そこから方程式に変換して、その方程式を解くことになる。
計算要素の田の字表の空欄への当てはめや方程式への変換は、ごく簡単なルールに従うだけでよく、問題を解く時間の節約になる。
田の字表は、問題文の整理と方程式への変換という二種類の作業を分離し、パターン化することで、余計な思考の混乱を排除することに貢献している。
そういう着眼点が「見える化」や「カイゼン」といった考え方に通じる部分だ。
また、初中等教育の就学人口が途中までに半減するような途上国での教育では、教える内容を方程式と田の字表に絞り込むのは有効な方法かもしれない。
本書は簡単な田の字表の解き方の解説の他は、問題を解きながら田の字表の解き方に慣れていく構成で、算数や理科の応用問題も網羅されている。
学校で田の字表が教えられていない理由や、田の字表の理論的な側面等の解説は出てこないが、小中学生向けによく考えられた構成と言えるだろう。