この本で著者が教えているのは、英単語には普通の強さで読む部分が多くても1箇所あり、そのほかの部分は弱く、素早くいい加減に読むことに尽きます。中学生や、アクセントといわれる部分を強く読むのではなく、それ以外のところを弱く読むのだという教えが腑に落ちた人にとっては、この本は非常に役立つことでしょう。

しかし、入門書であるので、どうしても音の少ない短い単語のレッスンが多くなってしまい、入門者にとってはサクサクと進めて挫折なく完遂することがかなり容易な教材に仕上がっているのですが、連語や文は最後のわずかなところでしか扱えていないため、再学習者は物足りなさを感じることでしょう。

もう一点、私が残念に思うのは、素早くいい加減に読む部分について、あまり言及されていないことです。大半の部分を早くいい加減に読むということになると、その部分をどう扱うかに巧拙がはっきりと現れることになるのは必然的な話ですから、そこをフォローすべきでしょう。

とはいえ、発音の説明に発音記号や口のイラストではなくカタカナを用いる方法も含めて、非常にフレンドリーな出来になっています。

著者には、この本とは別に発音のルールブックもあります。出版社が違うので、それぞれのコンセプトがあることでしょうが、重複するようなところもあり、著者のファンにとっては割高な設定と言わざるを得ないのが残念です。ちょうど100ページの本になっているのですが、もう少しボリュームのある本にする手はなかったのかと思います。