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身体の文化史―病・官能・感覚

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論新社
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身体性の希薄と希求はうらはら ★★★☆☆
 近代以降の“身体の文化史”を概観的にまとめている。目から鱗の発見は無いが、頭の整理にはとても良い。なんと言っても「女」「五感」「病」の三部構成で、ほぼ身体問題を網羅できててしまうってのが発見といえば発見だった。すべてが書き下ろしではなく、大半が発表済みの論考をまとめたものだというのも意外。通読して一冊の本としてのシームレス感があり、つぎはぎ的なところがあまり見当たらない。後々考えてみると、各論考がとても読みやすく、実はパートパートで完結していたのだな、と思った次第。はっきり言って、「女」だけでも、「病」だけでも、「五感」だけでも一冊になるのに...と言う、もったいなさ、物足りなさはある。まぁそれは著者の他の著作を読めば良いことだが。
 冒頭に金原ひとみの小説を例として挙げ、現代人の、身体性に対する切ないまでの希求を指摘しているが、それは本書でも触れているが、身体性が希薄になっていることの裏返しだろう。リストカットも、ピアスやタトゥーの流行も、あるいは発作的、ゲーム感覚の殺人も、日常的に身体の実感がないことによる急進的な現象に思える。たとえば風俗産業だって、大きな流れとしては「ヤル」から「ミル」への変化がある。それが進化なのか退化なのかはわからないし、男女関係の力学変化って別の問題もあるけれど、いつの頃からか、肌を合わせる悪所が廃れ、見て話すだけのキャバクラが流行り、今では性の欲望的なものが、ネットという「視られずに視る」世界に位相を移しつつあるってのは、あきらかに身体性の希薄化と関係があると思う。あるいは視聴覚のアンバランスな誇大。性から匂いとか味わいとか肌触りって要素が消えて希少価値となり、メディア的に流通可能な視覚、聴覚だけが突出、蔓延していく...やっぱ、汗かいたり、臭かったり、痛かったり、弛緩したり、痺れたり、酸っぱかったりするのも、たまにはいいもんだとは思うけどね。
身体文化史への誘い ★★★★☆
フランス19世紀文学・文化史を専門とする著者のoccasional paperに書き下ろしを加えて「身体文化史」として纏めたもの。女性の身体、身体感覚、病の語りの3部構成。各々のテーマにうまく文学作品を絡ませていて、語り口も滑らかで読み易い。19世紀フランスが主だが、身体文化史への誘いの書としても読める。ややダブりが多いのが残念な点。この手のテーマに飽きた人には、この本のなかでも言及されている「身体医文化論」4巻がお薦めだろう。