落語家の話題にとどまらず
★★★★☆
著者が亡くなったのは2003年、これが遺著となった。記者となって演芸関係の文筆に携わるようになるまで、漫画家、力士としての経歴を持つ。
力士時代には安芸ノ海の付け人として、双葉山の連勝ストップの歴史的取組を間近に見た。慰問で満州に渡った志ん生と圓生が行方不明と楽屋の噂に聞き、甘粕理事の死に立ち会った芸人の実話を聞き、先々代の小さん(人間国宝になった五代目の前)が亡くなる場面に寄席で立会い、正岡容・安藤鶴夫・玉川一郎、三者三様の先輩芸評家と交流しながら、戦後のヒロポン禍、歌笑の爆発的人気、etc.を目撃した。
この著者ならではの興味ぶかいエピソードが綴られています。