まず冒頭の「枯葉」に惹かれる。ロン・カーターのイントロが粋だ。私はビル・エヴァンスの大ファンだが、この曲に関しては「ポートレイト・イン・ジャズ」のいささか堅い解釈よりも、こちらを好む。バラード「グッド・バイ」も確かなテクニックとよく歌うメロディが印象的。「ダット・デア」「時さえ忘れて」「朝日のようにさわやかに」と、最後まで飽きさせない。全体的に、哀感の滲み出た、しみじみ系の選曲がよく、むしろ、2の「ソー・タイアード」が浮いていて邪魔な感じさえする。
やはり、この人の本質は、ウィントン・ケリーのようなスウィング感と、デューク・ジョーダンのような哀感を併せ持ったところにあると感じる。