正直エルヴィンを聴きたくて買ったのですが期待以上にぶっ飛んでます。
緊張感は1曲目から最後まで途切れることなく、こんなに緩急をつけた演奏は珍しいのでは?
ジョーヘンとコルトレーンカルテットの二人の共演作。べースが違うが、この二人とテナーのワンホーンのアルバムというと、同年のウェイン・ショーターの『JUJU』が印象に残る。ジョーヘンは公式アルバムには記録されていないが、一時期はマイルスのところでウェインとの2テナーで演奏をしていたことがある。マイルスが起用するぐらいだから、当時から評価は高かった。しかし一般的には、(晩年は再評価気運が高まったが)人気グループに所属することがなかったため、過小評価を受けていたと言えるだろう。だが、ジョーヘンのブルーノートでの諸作を聴くと、今聴いても全然古さを感じない、一流のプレイヤーであることが分かる。あのモーダルなオリジナル曲とフレージング。(コルトレーンのアトランティック時代の曲をジョーヘンなりに発展させた感じ。ショーターも同じ影響下にあったと思うが、曲もフレーズも異なっているのが面白い。)やはり持って生まれた個性がある。当時はジョージ・コールマンのような、同じコルトレーン派でも、上手いんだがイマイチ個性がないというプレイヤーが多かったのではなかろうか。この時代では、やはりショーターとジョーヘンがずば抜けている。
さて、そんなジョーヘンのテナーをたっぷり楽しめるワンホーンアルバムが本作。ジョーヘンのオリジナル「インナーアージ」で幕を明ける。単当直入にカッコいい。また、スタンダードの「ナイト・アンド・デイ」を演っているが、こんなにしびれる「ナイト・アンド・デイ」は聴いたことがない。出だしのリズムアレンジでいきなりやられてしまう。コルトレーンが「夜は千の眼を持つ」をモーダルに処理して演奏したが、それと同じ方法論である。マッコイのソロも快調。エルヴィンも煽りまくる。この一曲のために買っても損はないだろう。
本作が気に入った方には、兄弟アルバムともいえる、ジョーヘン、マッコイ、エルヴィンの3人にベースをロン・カーター変えた、マッコイのリーダーアルバム『ザ・リアル・マッコイ』もお薦めする。