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女子大生がヤバイ! (新潮新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 新潮社
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華やかな女子大生の、隠れた一面が文章には素直に表れる ★★★★☆
華やかさの象徴女子大生も実は様々な葛藤を自分の内に抱えている。
ケータイが手放せない、親が鬱陶しい、彼氏が物足りない…
隠れた所で彼女たちは悩んでいる。華やかさが表に出た反面、彼女たちの心の奥の叫びは届きづらくなっている。
それを解決するための一環か、著者は自らの文章表現の授業で女子大生に大きなテーマを毎回の授業で一つ与えて文章を書かせて、女子大生の秘める心理を読み取っていく。
男性には決して考えられない観点があったりして、彼女たちの作品を見ているということは女子大生観察と言うよりも女性観察をしているとも言える。
見かけは大人しい人が想像できないくらい過激な文章を書いていたりして、若い人って、女性って大変だなと思った。
女性の、若い人の気持ちがよく分かる一冊。
私立女子大に勤める著者が、学生に書かせた作文を紹介しつつ、女子大生の心情や生活を紹介した本 ★★★☆☆
私立女子大に勤める著者が、学生に書かせた作文を紹介しつつ、女子大生の心情や生活を紹介した本。

作文は小論文的なものから、フィクションまでいろいろあるが、著者が選別しているせいか、それほどエキセントリックなものはない。この点では期待はずれ。著者の解説も必ずしもあたっていないような気がする。

「フツーの女子大生たちの生の本音」と帯にあるが、授業中に教師に提出した作文が本音であるかどうかは疑問。したがって、この本に紹介されている彼女らの思想が、意外にわかりやすく常識的だとしても、「女子大生がヤバ」くないかどうかは、依然として不明である。
女子大生は「甘い」だけじゃない ★★★★☆
女子大生。
僕はこの言葉に、独特の虚脱感を覚える。酒タバコをやっても、もはやとやかく言われない。異性交遊も、もう「不純」ではなくなる。法律に触れること以外ほとんどが許され、無限に続くかのようなモラトリアムを謳歌する彼女たち。その印象はわずか数年年下の女子高生らとも、すでに違う。高校という戦場を権謀術策でサヴァイブせんとする彼女らのその緊迫感が、女子大生という言葉にはないのだ。
特に昨今は80年代以来の女子大生ブームのまっただ中。女子大生は女子大生であるがゆえに価値を持ち、つねにそのかかとは地表から数センチメートル浮遊しているかのような、浮き世離れした感があるのである。本書は、そんな女子大生に向けて長年「創作講座」をしているという文筆家のまとめた、文集的な内容。

そんな女子大生たちが集う文章教室と聞くと、文面には句読点よりも絵文字、ブログははてなよりアメブロというような、どうしてもスウィーティーなそれを予想しがちなのだが、読んでみるとその予想は良い意味で破られる。

凄惨な殺戮のイメージをとうとうと吐露するものから、人には言えないような歪んだ自己の性癖暴露まで、躊躇うことなく描写する彼女たちの筆致には、舌を巻く。おそらく彼女らの親が目にした日にゃ、卒倒するであろうものは、一つや二つではない。

本書は、彼女らの小論の引用とその後に、著者の解説および彼がそれを筆者名を伏して朗読した際の教室の反応などを記しているのだが、興味深いのは発表された文章と、その教室の反応のギャップだ。著者の描く大学生の反応は、あまりにも凡庸で、いかにもな「今時の女子大生」の枠をはみ出さない。

だが忘れてはならないのは、その凡庸な集団の中に、当の異常な文章を書いた張本人もいるわけである。著者はたびたび、それら到底現実であってはならないような内容を、おそらくフィクションだろう、想像の産物だろうと自分に言い聞かせるように繰り返す。しかし僕から言わせれば、それはどうでもいいことだ。重要なのは、それら文章が、彼女らの握ったペンから放たれたということなのだから。
そう、狂気は理性と同居するのだ。

フリフリのワンピースでオシャレに決めたあの子だって、くりんとカールしたまつげがかわゆいあの子だって、その内面で何を考えているかは分かったもんじゃない。彼女たちの想像力は、思いの外深いのである。
女子大生は、実は「ヤバイ」。
僕らは彼女らを、あなどりすぎている。
題名に惑わされるな! ★★★★★
題名からして、今の女子大生の非常識さが書かれた本だと思って読み始めたが、いい意味で期待を裏切られた。 与えられたいくつかのテーマの中から、これだと思うものを選び、時にはタブーな題材や表現も満載で思いのままに文章にしていく作業。 本を読まなくなったと言われる若者に、文章能力は育たないという結論は乱暴すぎる。 ひとつひとつの物語は、確実にその若者の感性から生まれているのだ。 目からウロコの傑作本として、このレビューを読んだあなたにおすすめしたい。
この感覚…わからないようでわかるような ★★★★★
著者が接しているのと同じような学生に接する機会がないでもない評者には、著者がこの本に書いている教室の雰囲気が何となく理解できるような気がする。上から目線での物言いが決して通用しないクールさと、放ってはおけないようなはかなさや危うさとが同居しているような、何ともうまく形容しがたいその感覚。

筆者の慎ましやかで一歩引いたようなコメントからは、そうした彼女たちをエラそうに分析したり説明したりするような傲慢さからは敢えて距離を取っているような、そのような心遣いを感じるのである。

わからないことはわからないなりに、理解できないことならそれも理解できないなりに、そのままに接しようとする著者の、そのような筆の運びに、評者としては好感を持った。

そういう意味でこれは「優しい」本である。