1969年にバンドを結成した当初は正統派ブリティッシュ・ロックをそのスタイルとしていたが、なかなか認められることはなく地道なライヴ活動を強いられた。ウィットに富んだメロディが持ち味となってからは、ポップ感覚あふれるアート・ロックと評され、本国イギリスのみならず海外での評価も高まりだす。拠点をアメリカに変えた彼らは、6枚目の本作で、全米No.1のタイトルをものにする。表題曲<4>をはじめとするヒット・チューンを続々と生みベストセラーに。代表作として認知されることとなった。(春野丸緒)
メロディーの素晴らしさゆえにロック史に残る傑作アルバム
★★★★★
もう35年くらいロック音楽を聴いていると、その中には聴いた瞬間に衝撃を受けたアルバムが幾つかある。このスーパートランプの『ブレックファスト・イン・アメリカ』もまさにそういうアルバムの一つである。初めて聴いたのは15歳の時であった。その場面や情景までも記憶に残っているほどの衝撃を覚えた。
1曲目の『ゴーン・ハリウッド』でもう相当の衝撃を受けた。静かにフェードインで演奏は始まるが、そのメロディーとアレンジの素晴らしさにショックを覚えたことを今でも覚えている。そして、続く『ロジカル・ソングス』、『グッドバイ・ストレンジャー』のメロディーの素晴らしさと綿密なる演奏で完全に嵌った。さらに『ブレックファスト・イン・アメリカ』の濃密なる存在感とお洒落なセンス。こんな音楽があるんだと腰を抜かすような感動を覚えたものである。他のロック・バンドがセックス・ドラッグ・ロックンロール的なノリを常に持っていたのに対して、当時、不良とは縁遠いような立ち位置にあった私にはスーパートランプの上品さと洗練さ、そして知性は逆に魅力と映ったのであろう。この時に受けた感動は、今、聞き直しても蘇る。というよりかは、中年になって、『テーク・ア・ロング・ウェイ・ホーム』などの歌詞がずっしりとより心に響くところもあるかもしれない。多少、『テーク・ア・ロング・ウェイ・ホーム』と『チャイルド・オブ・ヴィジョン』の間の3曲が牧歌的というか、テンションがそれほど強くはないが、このアルバムの1曲目から4曲目の繋がりは、ビートルズの『アビー・ロード』のB面に勝とも劣らない。そのメロディーの素晴らしさゆえにロック史に残る傑作アルバムだと思う。
1979年度グラミー賞「最優秀アルバム・パッケージ」受賞作品です!
★★★★★
グラミー賞の数ある部門賞の中で,特に異色といえるのが,
最も優れたアルバム・ジャケットに贈られる「最優秀アルバム・パッケージ賞」_。
わが国でも大ヒット(オリコン誌LPアルバムチャートで,最高位2位!)の本アルバムは
第22回(1979年度)での「(同賞)」の栄冠に輝いています。
今回の紙ジャケット仕様での再発は,そのジャケットをミニチュアながら鑑賞できるので,
大歓迎です。
さて,本アルバムの全米チャート成績(ビルボード誌)というと,
アルバムチャートにおいては,1979年5月19日付けから通算6週間No1に輝き,
シングルチャートでは,リリース順に「The Logical Song」が 最高位6位,
「Goodbye Stranger」が同15位,「Take The Long Way Home」が同10位_と
3曲ものTOP40ヒットを輩出しています。
ちなみに,
日本で大ヒットした「Breakfast In America」(オリコン・シングルチャートで最高位20位)は,
全米では,80年の秋に発表された次作にあたるライブアルバム『パリス(同8位)』より
シングルカットされ,最高位62位でした。
極上の楽曲を集めたスーパートランプの最高傑作
★★★★★
79年発表の6作目。スーパートランプと言えば本作と言われるほどの代表作がこれ。アルバムは全米1位で当時だけで300万枚の売り上げを記録し、2.が6位、3.が15位、6.が10位というヒットを記録した。69年の1st発表から10年目に掴んだ大ヒット作であり、いわゆるブリティッシュ・ポップの代表的な一枚として現在は認識されている傑作アルバムである。元々はプログレ的なサウンドを聞かせていたグループだが、メンバー・チェンジを経て3rd以降は比較的シンプルなサウンドに軌道修正した。
1.は初期10ccにプログレ的な雰囲気を加味したかのような曲であり、ドラマチックな展開を見せる。悲し気なメロディをソフトなピアノとハードなギターという両極端なサウンドでメリハリを付けて聞かせている。サックスも印象的だ。2.は必殺の名曲。スーバートランプを代表する一曲であり、またもや悲し気で美しいメロディが胸を打つ。これは聞かねばならない一曲だろう。3.も印象的なリフレインを持った佳曲。エレピを中心としたシンプルなアレンジが味わい深い。4.も彼らの代表曲の一つだろう。ピアノのストロークを中心としたハードなバラードといった感じの曲だが、強力なサビを持った、一際印象が強い曲だ。サーカスの道化師が登場してきそうなクラリネットも味わい深い。何にしても全曲シングル・カットが可能な印象的な曲ばかりであり、実際にそのつもりだった可能性もあると思う。
大半がパワー・バラードを主体とした曲だが、ハイ・トーンのヴォーカルとハーモニーとキャッチーなメロディが満載。この作品は全編でエレピの音色が鳴り響いており、そのやさしい音色がいつまでも心に残る。(ここまで無垢なエレピの音色にそうめったにお目にかかれるものではない) 他の作品でエレピを聞くとふと本作を思い出し、ついつい引っぱり出して聞いてしまうことが多々ある。エレピの魔法がたっぷり詰まった作品だ。
極上の楽曲を集めたスーパートランプの最高傑作
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79年発表の6作目。スーパートランプと言えば本作と言われるほどの代表作がこれ。アルバムは全米1位で当時だけで300万枚の売り上げを記録し、2.が6位、3.が15位、6.が10位というヒットを記録した。69年の1st発表から10年目に掴んだ大ヒット作であり、いわゆるブリティッシュ・ポップの代表的な一枚として現在は認識されている傑作アルバムである。元々はプログレ的なサウンドを聞かせていたグループだが、メンバー・チェンジを経て3rd以降は比較的シンプルなサウンドに軌道修正した。
1.は初期10ccにプログレ的な雰囲気を加味したかのような曲であり、ドラマチックな展開を見せる。悲し気なメロディをソフトなピアノとハードなギターという両極端なサウンドでメリハリを付けて聞かせている。サックスも印象的だ。2.は必殺の名曲。スーバートランプを代表する一曲であり、またもや悲し気で美しいメロディが胸を打つ。これは聞かねばならない一曲だろう。3.も印象的なリフレインを持った佳曲。エレピを中心としたシンプルなアレンジが味わい深い。4.も彼らの代表曲の一つだろう。ピアノのストロークを中心としたハードなバラードといった感じの曲だが、強力なサビを持った、一際印象が強い曲だ。サーカスの道化師が登場してきそうなクラリネットも味わい深い。何にしても全曲シングル・カットが可能な印象的な曲ばかりであり、実際にそのつもりだった可能性もあると思う。
大半がパワー・バラードを主体とした曲だが、ハイ・トーンのヴォーカルとハーモニーとキャッチーなメロディが満載。この作品は全編でエレピの音色が鳴り響いており、そのやさしい音色がいつまでも心に残る。(ここまで無垢なエレピの音色にそうめったにお目にかかれるものではない) 他の作品でエレピを聞くとふと本作を思い出し、ついつい引っぱり出して聞いてしまうことが多々ある。エレピの魔法がたっぷり詰まった作品だ。
売れるためにポップ化したんじゃない。
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キャリアのなかで一番売れた作品が必ずしも最高傑作でないのは
出世作によって認知された次の作品が売れる傾向にあるからです。
また、音楽性がポップ化したりシングル重視の方針による事も
あるでしょう。
スーパートランプの場合は、彼等の音楽性が確立され作風がやや
シリアスな「クライム・オブ・センチュリー」を支持する方が
多いのは頷けますし間違った選択ではないと思います。
しかし、未体験者も含めた上での代表作を選ぶとしたら79年発表の
「ブレックファスト・イン・アメリカ」にせざるを得ないでしょう。
中心人物のロジャー・ホジソンとリック・デイヴィスのソングライティング
とバンドの演奏力が非常に高いレヴェルで融合した作品です。
見事全米No.1ヒットとなったタイトル曲以外にも‘あこがれのハリウッド’
‘ロジカル・ソング’‘グッバイ・ストレンジャー’‘ロング・ウェイ・ホーム’
など名曲が目白押しの内容となっています。
一枚のアルバムに収まっているとは思えない程の楽曲の良さだけで
説得力がある作品です。
この後、ロジャーがもう一枚のアルバムを残して脱退してしまうのも
この作品での達成感が起因しているのではないでしょうか。
とにかく、バンドにとっては一世一代の力作であり、リスナーにとっては
決して色褪せない世紀の傑作と呼べる作品です。