中国近現代の内容にはかなり疑問を感じます。
★★☆☆☆
特に前半の中国の近・現代史の部分は、読んでいて疑問を感じる部分が少なからずありました。
165頁、166頁の通州事件での、中国の保安隊による日本人居留民の虐殺についても、「あまりにも絶好のタイミングと、事件の責任追及が曖昧にされたこと、そして事件が中国の横暴の宣伝に利用されたことを考えると、そこに謀略の臭いをかいでもさして過敏にすぎるとはいえないだろう。」と総括しており、中国人による虐殺事件の裏に日本がいるかのように書いており、困惑してしまいます。また、南京事件については、虐殺があったか否かも含めて多くの議論があるにもかかわらず、そのことには触れず、「捕虜、投降兵そして一般市民を意図的に虐殺した」と書いています。被害者数についても「三十万は過大と思われるが、ともあれ、日常的感覚をはるかに絶した数値」と述べ、日本軍による大量虐殺があったことを(具体的裏付けを一切示さずに)読者に印象付ける書き方となっています。かなり偏向した記述であるとの印象を持ちました。中国の近・現代史についてこの本しか読まなかったとしたら、かなり偏った知識と理解しか得られないのではないか、と感じます。