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ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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現代世界を歴史過程から分析する ★★★★★
非常に面白い。
世界システムの成立過程が、どのように現代の国際情勢につながってくるのかが
論理的に語られている。
特に面白いのは、中国・インドの台頭がなぜ起こってくるのかという分析。
歴史過程だけではなく、ゲーム理論なども織り交ぜられ、単なる国際情勢の
教科書にとどまらず、知的な娯楽を体験させてくれる。
日本外交の重要性を改めて実感する一冊 ★★★★★
田中明彦氏は東京大学の高名な国際政治学者ですが、私は東大の学生ではないので、一般人の観点でレビューします。

今日の国際情勢を見ると、国家主体の国際政治体制は一貫して残っておりますが、国家の動向だけで論ずるには、不確定な要素がたくさんありすぎると思われます。NGOもそうですし、グローバルな企業もそうです。今日もっとも不確定な要素はアルカーイダのようなテロ・ネットワークです。したがって、特定の地域や国家の動向について詳細に論ずるよりも、世界をシステム化して、文化・文明の全体的な盛衰のなかで、今日の国際情勢を論じたほうが、世界を認識するのに都合が良い、という考え方はありえると思います。この点で、私は一般理論ではなく、“田中明彦氏の”世界システム論を読んでみたいという気持ちが湧きました。できれば、口述筆記でも良いので、彼のような識者に今後もこういった本を出して頂ければと思います。

読後の感想としては、やはり、2009年の時点の国際情勢がクリアに分析されており、自分のなかで整理できたように感じられました。また、「(不安定要素を内包した国家の)国内の動向に注意せよ」という彼の指摘は警句として受け止めたいと思いますし、面白い議論も多くありました。その一方で、彼自身のイスラムに対する見方というものをもっと提示して欲しいと感じました。と言いますのも、彼の混沌する地域とするイスラム社会が今日、国際社会の不確定要因でありますし、アフガン、イラクに対する米英軍の攻撃に対する評価を学者がしないと、00年代の日本外交も総括できないのではないかと思われるからです。氏が積極的な評価を与えるオバマ本人は、アフガン戦争において大統領としての責任は(成功するかどうかはともかく)とっているわけであるから、日本の学者もきちんと評価をしていただきたいのです。そして、多極化時代とか、アメリカのパワーやシンボルの外交などについて論ずるならば、近代史における西欧諸国の帝国主義の動き(イギリスのインドや中国侵略、中東政策など)をきちんと評価しなければ、今後の世界システムに関する議論も空回りしてしまう可能性があるのではないでしょうか。(ウェストファリア体制でイスラム世界の全てを説明するわけにはいかないので)

全体的に言えば、日本の国際社会に対する責任は依然として強いことを痛感し、本書の発表後の鳩山政権の失態に改めてガッカリしますが、一読者としては大変面白い内容でした。