で,高田さんが,芸能界の離れてしまった部分を
言葉で埋めてくれる。ものすごく身近に感じさせてくれる。
高田さんという人は,きっと芸能界を好きであるし,
そして,普通の一般生活というのもよく知っている。
だから,芸能界を簡単に一般の目の前に置くことのできる
技術を持っているのだと思う。
彼の芸能界での役どころは、本人が言うには「セコンド」「応援団」「裏方」といったところ。しかし、悪く言えば芸能界の大腸菌のような立場である。若手や売り出し中の芸人を引き上げる役割を果たしているから、それなりに存在意義はあるものの、もしもそれを失ったら寄生虫と大差ない。試写会や招待でのお出かけの、いかに多いことか!また、ここに出てくる芸人は、いわば彼の取り巻きである。巻末の索引には思いがけず多くの人名が並ぶが、彼の贔屓が一握りであり、比較的小さなサークルを形成しているのは明らか。私は「群れる」のが嫌い、サロンが嫌いだから、こういうあり方は快く受け止められない。個性の強い芸人たちが、本当にサロン内の自分を肯定しているのか?それともある種の団体のように、自分の意志では「抜けられない」事情があるのか?
まあ、細かいことを言わなければ、この物凄い見巧者の生活、うらやましいとも言える。小林信彦のように「文化五流国」などと憂えなければ、こういう生活も可能なのだ。平和な日本である。