中学英語で落語を楽しむ
★★★★☆
本書は、「時そば」「茗荷宿」「花見酒」「死神」「皿屋敷」という古典落語の5つの演目を収録している。
語彙数1,300語以内のやさしい英語に翻訳されているので、たぶん中学卒業程度の英語力があれば、まあ普通に読める内容ではないかしら。巻末には、すべての使用単語のワードリストまでついている。誰でも辞書なしで読めるように配慮されていますね。
それにシナリオ形式で書かれていて、小説やエッセーの長文よりも読みやすい。これからだんだんと英語の原書に挑戦したいと考えているようなビギナーには、英語学習のための教材としてもお勧めできそうだ。
どれもかなり知られた短めの噺ばかりだが、「茗荷宿」と「死神」は昔ばなしとしてもお馴染みのもの。意外にも、違和感のある脚色はごくわずかで、落語らしいサゲの部分も含めて、滑稽な会話のやりとりの感じが伝わるように簡潔に英訳していることが興味深い。
あちこちに、目黒久美子のイラストレーションが何枚も挿入されていて、まるで児童書のようにかわいい。