最初、新書で18巻も買えるか!!と思っていました。そこで、四巻までが一部だと知り、とりあえずそこまで買うことにしたのです。
そこに広がるのは、中世ヨーロッパ調の雰囲気漂う、架空世界。
王座を追われた青年・ウォルと異世界から来たという少女、リィとの出会い。次々現れる刺客と、改革派の陰謀、何も持たない王様が、デルフィニアの王座奪還を目指して味方を徐々に増やしていく過程。
私はそれまで戦記物!、というジャンルを読んだことがありませんでした。私の中ではどうも戦記物、というと堅くて平坦というイメージがあったためかもしれません。が、この話はなんの抵抗もなく読めました。気持ち良くピンチを切り抜ける王様の知略冴えと、少女の驚異的な技量、そして彼らを取り巻く脇のキャラクターたちもそれぞれ個性的で輝いています。これだけ登場キャラクターが多いのに、どれも魅力的に映るのには驚きました。
そしてコーラル奪回編で突きつけられたペールゼン側の切り札、フェルナン伯爵のシーンなどを経て、どんでん返しの四巻を読み終えた時などこれで完結かと思うほど感動しました。
こうなると続きどころか最後まで読みたくなるのが人としての性(笑
あっという間に全巻をそろえ、あっという間にデ!ルフィニアの歴史、その一端を体験したのです。
五巻以降も、話の魅力は無くなるどころかますます引き込ませていって、次々と頁をめくってしまう。
巻数を重ねていって、18巻を手にしたときにはちょっと感慨深いものを抱いてしまったり。
続きが気になる、しかし終えてしまいたくない。
そんな葛藤を覚えながら最終巻を閉じて、最初に出てきたのは溜息。
読み終えた達成感と、登場人物との別れの寂しさ、満足感。
全てが混ざり合った溜息。
一日余韻を残して、翌日から再び一巻を手に取ってる自分(笑
こうして何度も読み返している大作です。
何度読み返しても面白い。
話を大体覚えているというのに、それでも面白いのです。
これが茅田女史のデビュー作だというからそら恐ろしいもんです(!ぁ
新書では手に負えない、という方は文庫版でも出ています。
そして、再びデルフィニアの登場人物に会いたい方は現在刊行、執筆中の「暁の天使たち」シリーズを。
これを深めるためににも「スカーレット・ウィザード」も併読することをオススメしますv
長い話で何か無いかとお探しの方には是非お勧めしたいです。
戦記物だと尻込みする必要はありません。
読み終えたあとはきっと、もう一度読みたいと思うハズです。
想像するのも楽しいですよvv
この続きは、「暁の天使たち」としてすでに出ています。でも、あれを読むには、「スカーレットウィザード」も読んでおかないと、楽しめません。
「スカーレットウィザード」はそこまで長くないし、ぜひ読んでみてください!これもまた、異色夫婦の話ですがおもしろいですよ!!