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銀漢の賦 (文春文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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骨太な小説です ★★★★★
一人は文武両道で両親の仇をとるために家老まで登り詰めた将監、
かたや武術に優れているが郷回りのままの源五。
幼馴染であった二人がもう一人の親友、十蔵の死をきっかけに源五が縁を切ったが、
二十年のときを隔て将監の命を懸けた思いを知って、暗殺を命じられたにも関わらず
将監の脱藩を助ける源五。この二人の友情に胸が熱くなる。
主人公たちは50代であるが、そんな年齢を感じさせない志の高さ、
行動力をもっていて、年下の追っ手にも真っ向から立ち向かう姿がなんとも清々しく
骨太さを感じ、読み応えのある一冊。
また友情を示す「天の川」=「銀漢」は燻銀のような彼らにふさわしく渋いタイトルだ。
江戸時代の武士が読んでも、きっと“うなる”。 ★★★★★
やられた・・・・久しぶりにすごい作品に出合ってしまった。
武士も百姓も関係なく、こころざし高く気骨のある人間がみせる武士道精神。
うなるような気迫と生きざまに震えた。

濡れ衣を着せられ暗殺された父の仇を討つため、最後は家老にまで のし上がった男。
家老になる決め手となった手柄は、藩を揺るがす百姓一揆の弾圧で、
その一揆は、皮肉にも身分の違う幼き頃の親友3人が、
指揮官と鉄砲隊員 対、百姓一揆のリーダーとして向い合った事件でもあった。

私欲を捨て大義のために生きぬいたつもりでも、ほんの少しの気のゆるみや
なにげなく振り払った火の粉が、知らないところで人に致命傷を与えているという
人間界の非合理さを思い知らされた。

現代人が武士の言動に感動するような ぬるい時代小説ではなく、
江戸時代の武士が読んでも、きっとこの作品に共感し感涙したはず。 本気で骨太作品です。
湘南ダディは読みました ★★★★☆
本格派の時代小説を読んだという感慨があります。作者は50歳から文筆活動に入られ、文壇デビューは54歳だそうですが、デビュー作で歴史文学賞、本作が14回松本清張賞を受賞している実力派です。
 物語はとある藩で幼少時に同じ剣道場にかよい、竹馬の友であった3人が様々な変転を経て、一人は功なり名を遂げ名家老とまでいわれるようになる松浦将監、一人は無骨者で郡方にあまんじている鬼源五こと日下部源五、百姓なのに刻苦しそれ故に一揆の惣代となり処刑される笹原村の十蔵、この三様の生き方を現在過去をカットバックしながらたくみに描き尽くしています。一揆の討伐に選ばれた銃の名手源五は、相手が十蔵であることを知りわざと狙いを外して十蔵達百姓の言い分をきき将監につたえます、この騒動は思わぬ展開から将監を家老に抜擢させることになります。その後の十蔵に対する将監の過酷な処置を契機に源五は絶縁を申し出て何十年たち、五十を超えてからこの二人はお家騒動に巻き込まれ皮肉な巡りあわせにより再びまみえることになります。
 将監追い落としの一派は剣や銃の使い手である源五を利用して、将監を上位討ちにしようとしたのです。領主を時の幕府幕閣に登用するかわりに、領地替えをさせようとする幕臣達の画策を見抜いた将監が領主に公然と異を唱えたからです。逆命利君、あえて命令にそむき結果的には君主のためになるようにする、ただ自らの保身に汲々として位階人臣をきわめたと思っていた将監が真に国を憂えていたことを知って、源五はいずれにしろ余命の短い将監を自らの命を賭して藩外に脱走させ、時の権力者である松平定信にこの幕府のたくらみを中止させようとします。 何十年をへても変らぬ男の友情が骨太に描かれています。
剣戟シーンのリアル感も読者をうならせるでしょう。映画にたとえれば黒澤明作品のように緊迫感のあふれるものとなっています。お勧めの本格派時代小説です。