キットを作りたいおじさんモデラーにエールを送る
★★★★☆
Rail Magazine誌に1986年(昭和61年)から15回連載された「午前0時のひまつびし 模型の処方箋」と、RM MODELS誌に2002年(平成14年)から15回連載された「模型るねっさんす」を編集・合本化したもの。
題名は「Nゲージ工作今昔 明日の模型工作のために」だが、レイアウト関係の工作は含まれず車両工作100%。単に過去の連載をくっつけただけでなく、新たに現在の視点で著者が前書き、あと書きを加え、また関連実物車両の写真やコラムといった追加記事もあり、ボリュームもあってお得。
昭和の連載では青年モデラーだった著書も20年の時を経てすっかりおじさんモデラーの域。昔も今も徹底して模型の「色」「ウェザリング」にこだわる。長く鉄道模型をやっている人なら誰もが「あるある!」とうなずいてしまうような著者の体験談的マンガも面白い。モデラーはその母に始まり、彼女、妻、子、孫にまで一生迫害され続ける宿命のようだ・・・。
巻末の国鉄104色・私鉄135色のカラーチャートと、鉄道模型専用塗料全リストは「完全保存版」をうたうだけあって(前者は印刷インクでの表現には多少限界があるとしても)、塗装を行うモデラーには良い資料となる。