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仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:鈴木光司/〔著〕 出版社名:角川書店 発売所名:角川グループパブリッシング(発売) シリーズ名:角川ホラー文庫 発行年月:1997年09月 関連キーワード:ホノグライ ミズ ノ ソコ カラ カドカワ ホラー ブンコ ほのぐらい みず の そこ から かどかわ ほらー ぶんこ、 カドカワシヨテン カドカワグループパフ 0946 かどかわしよてん かどかわぐるーぷぱふ 0946、 カドカワシヨテン カドカワグループパフ 0946 かどかわしよてん かどかわぐるーぷぱふ 0946 巨大都市の欲望を呑みつくす圧倒的な「水たまり」東京湾。ゴミ、汚物、夢、憎悪…あらゆる残骸が堆積する湾岸の「埋立地」。この不安定な領域に浮かんでは消えていく不可思議な出来事。実は皆が知っているのだ…海が邪悪を胎んでしまったことを。「リング」「らせん」の著者が筆力を尽くし、恐怖と感動を呼ぶカルトホラーの傑作。
配列も工夫された短編集 ★★★★★
 東京湾をテーマに、その周辺を舞台にした7つの物語から成ります。
 ホラー小説に分類されていますが、超常現象の類が動員されることは少なく、もっぱら登場人物自身の心の内に沸き上がる恐怖を読者に共感させるという手法をとっています。水の中で死体が浮遊するというシーンやイメージが頻繁に出てきて、これが登場人物たちを襲う恐怖の中心になっています。
 7つの短編の配列は、やや意図的なように思います。やり場のない不条理が支配するエピソード群が語られた後、「ウォーター・カラー」と「海に沈む森」からは未来につながる前向きな姿勢を感じ取ることができます。
 個人的には、「夢の島クルーズ」で、外資系マルチ商法に熱心な夫婦がヨットに置き去りにされたのが小気味よかったです。
生々しい水の臭い ★★★★☆
「リング」を読み、今度はこの本にも挑戦。
湯船を満たす水道水の描写、転覆した小型漁船の内部の描写。
水の臭い、肌感触、窒息感……どれもが非常に生々しい。
水に臭いがする恐怖を、ここまで静謐な筆致で紡ぎ上げる著者は、
ほとんどいないように思う。
映像作品からこの著者を知った自分は、この著者に対して偏見を抱いていた。
どうせ映画みたいな派手でチープなホラー世界を作る人なんだろうと。
ゴメンナサイと言いたい。
もっと早く偏見を捨てていればと後悔の念に駆られている。
湿気を感じる短編集 ★★★★☆
すべて水に関する話なのは…見れば分かると思います。
どの話も、じっとりとした重みを感じました。
リングでも似たものを感じたので、これは著者の作風でしょうか。
話には、おのずと水死体が多く絡んできますので、
それ系でトラウマがあると思う人にはお勧めしません。
きれいに纏まった短編集だと思うので、
ある程度色の定まった話の集まりを求める人向けです。
具体的内容には触れませんが、面白いです。
身近にある「死」について考えさせられる ★★★★★
全ての作品に「恐怖」や「死」の要素を盛り込んであるので、確かに「ホラー小説」に分類されるものでしょう。
しかし、この作品に私が全編を通して感じたのは「ユーモア」でした。
「孤島」や「夢の島クルーズ」は特にその要素が強いと思います。
また、ラストの「海に沈む森」は、私も主人公とおなじ「父親」の立場なのですが、「死」に直面した時に自分はどのように行動するのだろうかと真剣に考えさせられる話で、個人的に最も印象に残った作品です。
この短編集で作者は「ホラー小説」の体裁をとっていますが、それは便宜上「死」の要素を入れやすかったからではないかと解釈しています。
幽霊や化け物が出てくる単純に怖い荒唐無稽な話ではなく、だれにも必ず訪れる「死」や人生の中で直面するどうしようもない「現実」を「ユーモア」で包み込んだ上質な「エンタティメント小説」だと思います。
生理的な部分に訴えかける恐怖 ★★★★☆
水、特に海から得られるイメージは、明るく爽快で開放的なものである。だが、それと同じくして背中合わせに、暗くてどんよりして密閉的なイメージも孕んでいる。明と暗。昼と夜の違いで、これほど印象が変わるのも海が生きている証拠である。
本書に収録されている七つの物語は、その海や水をテーマにしたホラー短編である。
印象に残った作品から言及するなら、ラストの「海に沈む森」で描かれる恐怖は悪夢の総大将のような恐怖で、読んでいて背筋が寒くなった。映画化もされた「浮遊する水」や「穴ぐら」は生理的な嫌悪をともなう恐怖であり、これはダメな人はまったく受けつけない類の話だろう。どちらかといえば、恐怖というより嫌悪が勝ってると思う。「夢の島クルーズ」、「漂流船」、「ウォーターカラー」の三作はホラーそのままのテイストで純粋な恐怖、それこそ仄暗い海の底から漂ってくる臭気をともなった、闇に蠢くものへの恐怖を扱っている。こういうの描かせたらウマイねぇ。肌の粟立つ感じっていうの?もう、とんでもなく気持ち悪くて、究極に恐ろしい。「孤島」は、この短編集の中では少し感触が異なっている。ナチュラルな現象を扱っていて、ここには奇妙な存在も霊現象も登場しない。しかし、嫌な感触である。なんとも形容しがたい作品だ。これは長編に書き換えてもっと話をふくらませて欲しいなと感じた。
ざっとこんな感じである。水がテーマなだけに、ホント嫌いな人なら生理的に嫌だろうなと思える場面が多く、そういった意味では虫酸がはしる作品集である。こういうイメージはなかなか頭から離れることなく、忘れたと思ってもふとしたはずみで思い出したりするのである。たとえば、排水口にからまった髪の毛を見たときなどにね。