Piano Sonata D.960 / 3 Klavierstucke D.946
価格: ¥2,354
This is a marvelous musical coupling: Schubert's overwhelmingly moving last Piano Sonata and the visionary set of pieces written a few months earlier. There are several outstanding performances of the Sonata currently available, including those of Schnabel, Lupu, and Curzon. For the Piano Pieces, the only performance of comparable stature in the current catalogs seems to be one by Kyoko Tabe (Denon), which has the same Sonata for coupling. Neither pianist is very heart-on-sleeve in any of this music, so if you want more overtly romantic Schubert, look elsewhere. But both Uchida and Tabe give us profoundly moving interpretations of all this music, each on such a high level that it's impossible to make a choice between them. I'd buy 'em both. --Leslie Gerber
だから節
★★★★★
初めての21番だった。
他の誰の演奏も聴いたことがなかった‥‥。
だから聴き比べ、出来ない。
「だから」なのだ。
だから、純粋に感動したんだ。
人と比べていると、感動の時間を逃す。
時間はもう戻らない。
戻れない…‥。
だからシューベルト、この曲書いたんだろう…‥?。
内田光子さん、その闇を隠さず、演奏してます。
「だから、音楽家なんだろなぁ」
考え抜かれた演奏だが
★★★☆☆
徹底的に考え抜かれた音楽的な演奏だと思います。よい絵画と同様、優れた音楽作品というものは「一緒に暮らす」べきものであると思いますが、作品と一緒に暮らしながら思索を深めていく、という理想的な作品との向き合い方の結果として生まれたのが、本ディスクではないかと思います。聴く方も本盤と一緒に暮らすことで新たな発見があることでしょう。ただ少し不満なのは、全ての場面で音楽の背後から「ここはこういうところだから...」という演奏者の解説がどうも聞こえてきてしまう、ということです。音楽が何か別のものを「表現する」ための手段になってしまっているような違和感を覚えるのです。確かに歌曲王シューベルトの作品には描写音楽的な性格があるかもしれませんが、それはあくまで音楽がそれ自体で完結した独自のロジックの枠内で世界を表現したり模倣したりするということであって、すでに出来上がった音楽を「使って」何か別のものを表現することではないと思います。この点で内田氏の尊敬するシゲティや、シュナーベルの同曲の演奏にまだ及ばないと思います。シュナーベルの演奏の一見突き放したような無関心さの奥にあるもの。内田氏にはさらに上を目指すことができる稀有な才能があると思いますのでさらに頑張ってほしいと思います。
こんなに悲しい演奏があっていいのだろうか?
★★★☆☆
NHKの芸術劇場か何かで内田光子がシューベルトの最後のソナタを演奏するのを見た。
何気なくテレビのスイッチを入れたらたまたまこの番組に出くわした。ちょうど内田が拍手に迎えられてステージに向かう場面だった。しばらく緊張した静かな時が流れ、内田が最初の音を鳴らしたとたん、電気に打たれたようなショックを受け、最後まで画面に釘付けになってしまった。その感動を求めてこのCDを買った。しかしもはや感動は蘇ってこなかった。
この曲は乾いた寂寥感に満ちている。
雲ひとつない快晴だが、深深と冷える冬の午前。最愛の人を亡くし墓地に葬った。もはやその人は帰ってこない。癒しがたい悲しさがこみ上げてくる。しかし快晴の空はどこまでも青く澄み切っていて冷たく、諦念にもにた乾いた悲しさがその青い空に吸い取られていく。
私は、この曲を聴くとそんな情景が浮かんでくる。この悲しさに、内田の神経質な感性が突き刺さってきて、最後までじっくり聴くことができなくなってしまう。そこまで突き詰めたところにこの演奏の価値があるとはいえる。しかし、この悲しさは、特に自宅で寛ぎながら聴くには、辛すぎる。ポリーニの1枚の方がはるかに多くの喜びを私に与えてくれる。
幽玄の狭間へ
★★★★★
このCDは、プレーヤーのスタートボタンを押してから演奏が始まるまで10秒くらいの無音時間があります。この配慮がすべてを物語っています。
名曲なのでさまざまな演奏家のCDが出ていますが、内田さんの演奏は地獄と天国の狭間に留まって、じっと死と生を見つめなおすような解釈になっています。30歳そこそこで逝ってしまったシューベルト。今の感覚では若くして亡くなったということになりますが、歌曲集「冬の旅」を聞けば誰でもわかるようにこの時期はもう半分あちらの世界に逝ってますよね。そんなシューベルトの精神状態をくっきりと描いた演奏だと思います。居住まいを正して聞きたい1枚です。
涙の後に恐ろしくなる
★★★★★
CD屋さんで試聴した。人前なのに涙が止まらなくなりこまった。どうしてこんな音楽を30歳そこそこの人がつくることができたのだろう?シューベルトは音楽の天才かもしれないけど、それ以上に生き抜くことの天才だったのだとおもう。本当に恐ろしい。