欲しかった一枚
★★★☆☆
70年半ばには既に手に入らなくなっていた一枚でした。当時ですからwebでの視聴などもなく私の中では伝説の一枚になっていました。
聴いてみて、その後のブラックストンより実にシンプルにブローする、まさに初期のブラックストンと言う演奏が聴けました。
しかし、当時のレコードを聴いていないので何とも言えませんが、時々音が途切れます。また、右チャンネルからザーと言う雑音が終止出ています。マスターテープから既にそうなのか?昔よくあったレコードからのダビングなのか不明ですが、演奏が素晴らしいだけに残念でなりません。
音質が良ければ☆四つでした。
ロフトシーンの重鎮たちが薫陶を受けたといわれるフリージャズの傑作!!
★★★★★
1968年に吹き込まれたフリージャズの金字塔的作品。
『フォー・アルト』は世に出た最初のソロ・サックス・アルバムではないか、
とも言われている。これはAACMが主催したコンサートの録音。
AACMだからこそ実現した企画ともいえるが、ひとつひとつのトラックが、
ジョン・ケージ、セシル・テイラーなどに捧げられている。
この、サウンドに対する深い探究心はスティーヴ・レイシーにも刺激を与えたとも言われ
(かのジョン・ゾーンも大学生の時にこれを聴いて天啓を受けたらしい)、
即興演奏とサックスにおける表現領域を大きく拡大、当時、画期的なアルバムだったことは間違いない。
しかもシカゴ・ブルースで有名なデルマークというレーベルだけに、この作品におけるブルース・フィーリングもすごいものがある。
なんといっても凄いのが2曲目「to composer john cage」でのアルトソロ。
血湧き肉踊る演奏というのはまさにこういうものを指して言うのだろう。
聴く方は文字通り手に汗握り、ブラクストンの爆走にグイグイ引き込まれること必至。演奏のパワー、スピード感、そしてその底に流れるブルースフィーリングと、どれをとっても最高!「to pianist cecil tailor」も好きです!
作品番号8a, 8f, 8h, 8a/b, 8d, 8c, 8g, 8b
★★★★☆
~2枚目のリーダー作にしてLP2枚全編アルト・サックスのみによるソロという若きアンソニー・ブラクストンの冒険的作品であり、Down Beat誌をはじめ各方面から絶賛を浴びた歴史的名盤"For Alto"である。
~~
作品のタイトルが記号、熱狂的パワー・プレイをしない、抽象的なフレーズ等の理由で敬遠されがちなブラクストンだが、ここで演奏される8曲はそれぞれ明確に異なるコンセプトのもとに演奏されており、整然とした印象を受ける。その意味では、実は明解な作品と言える。
1曲目(8a)はスローなブルースによる短い前奏曲。
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2曲目(8h)は一貫して大音量で、シーツ・オヴ・サウンドの如く細分化された旋律を素早く組み立てて行く。中間部分と終了近くでほぼフリーク・トーンと化した絶叫も現れる熱狂的な演奏。
3曲目(8a/b)は執拗にトリルを多用するが、一方で強引なピッチ・ベンドも用い、ほのかにブルース風味も加わっている。
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4曲目(8d)は明るい雰囲気のバップであり、珍しく㡊??ード進行を明確に感じさせるストレートなジャズである。
5曲目(8d)は一貫して弱音で音数も極端に少ない静的な演奏で、ひたすら陰鬱なバラード。
6曲目(8c)は強弱を合わせ持つスローなブルース。
7曲目(8g)はひたすらフリーク・トーンを続けるアトーナルな世界。音色の変形のみに固執。
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8曲目(8b)では極度に断片化されたフレーズで大音量と沈黙を繰り返す、過激な音による聴覚への攻撃である。~