米朝師匠の長男として生まれ、
歌舞伎界のように世襲制のない落語界なのに
父である師匠に弟子入りし
師匠の師匠である名前の米團治を襲名したエピソード等が書かれている。

テーマが広すぎて（例えば小米朝的上方文化論など）、
テーマを絞ればもっと面白い本になった気がする。

一般には知られていない一門のエピソードや
他の一門との関係などをもう少し詳しく書いて欲しかった。
（六代目笑福亭松鶴と米朝とのエピソードなどにも触れて欲しかった）
とちりの小米朝と言われるほどのエピソードは面白いので、
もっと書いてもよかったのでは？

小米朝から五代目米團治になり
確かに芸風が変わってきた気がするが、
落語と同じようにこの本もまだ残念ながら深みがないと思った。

しかしこの人には華があるので、
どうあがいても父であり師匠である米朝のように
人間国宝にはなれないのだから、
もっと開き直って頑張って！五代目！
自分スタイルの五代目を確立してください。

久々に一気読みしました。

米朝さんの子供であることでされた苦労など
色々書かれていますがご自身の失敗談、
そしてそのために書いた詫び状の事が
書かれていてしかも米團冶師匠からの
詫び状の指南書（？）みたいにもなっています。

早くから注目されてきていづれは米朝か
もしくは中米朝？とか言われてきて
やっと落ち着いたのが米團冶さんというお名前。

この本に全ての事象は偶然ではなく必然であり
という文章がとても心に残りました。
一件、別々の事柄に思えてもあとで思い返せば
つながっていたという事。

とても深いお言葉です。

襲名を機に米團冶師匠の益々のご活躍を
ご祈念したいです。

少年時代、入門から襲名、一門の噺家について、上方文化論など、面白くないわけでも読みにくいわけでもありませんが、全体的に内容が浅い気がします。
もっとテーマを絞って、掘り下げて持論を展開すると良かったように思います。特に、他のレビュー者の方も書かれているように、米朝師匠、枝雀師匠、ざこば師匠などの、一般には知られていないエピソードや落語への取り組み方、また、それら師匠と米團治師匠との関わりなどについて書いてくれることを、落語ファンたちは望んでいるのではないでしょうか。

米朝さんの名著「落語と私」との関連でしょうか，ポプラ社からの出版ですね．南座での襲名披露の即売で早速購入して，帰りの京阪電車の中で読みました．
私の米團治さん小米朝時代の思い出は，一つはこの本の中に書かれていましたが，天満天神繁昌亭のこけら落とし公演で，落語芸術協会会長の桂歌丸さんを三遊亭歌丸さんと紹介したことです．「おー，なにするんや」と思いました．もうひとつは，25年ほど前，場所は大阪・京橋ダイエーであった島之内寄席，噺の題名や内容は忘れましたが六代目松鶴さんの高座で，下座役の米團治さんが舞台の袖から台詞を入れなければいけないところではずしてしまい，松鶴さんにきっかけを入れてもらっていた場面です．舞台がはねた後にやっぱり説教されたんでしょうか．私にとっては強烈な思い出で，他の出演者の噺家さんも覚えているくらいです（桂春輔さん，橘家圓三さん）．このことについても書いてほしかったです．
物足りなかったころは，襲名を期にしての出版なのだから，落語自体に対しての記述をもう少し増やしてもよかったのでは．また，師弟関係とはいえ親子だから書けるかもしれない米朝さんや，故人となった兄弟弟子（枝雀さん，先代歌之助さん，吉朝さんなど）の芸についても読みたかったけれども，やはり無理ですかね．