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ファッションの文化社会学

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: せりか書房
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"After a Fashion"の直訳は? ★★★★☆
 日本語タイトルは、訳者である成実先生のつけた本書全体からの意訳であろう。本文は、ファッションという言葉の持つ多用なニュアンスをこれまでの分析視点の批判的レビューと社会学者フィンケルシュタインの、先行研究の切り貼りに少々の講釈を加えた衣類・身装品・スタイル等々と自己との関わりに射程をおいた文化論、といったところか。どのくらい貼り付けたかというと、本文182ページ中に脚注が、254カ所。論文というよりは著書目録。なぜこうなってしまったのか。

 第1章に、著者の用いた英語の"after"には超えでて考察する、あるいは求めて探求する、という意味をも持つとある。しかし、社会、経済、美意識の現象など(p.15)を含めた上での多岐にわたる探求は結構なのだが、著者のメッセージが不鮮明である。「どうにかこうにか」まとめ上げた一冊から、私たちは主題解読の努力をすることになる。小説のようではあるが、訳者があとがきに一つの読み解く視点を提供してくれている。
(1)近代社会におけるファッションの意味
(2)つくり上げる自己
(3)ジェンダーとファッションの関係の再考

 消費社会に関して著者の考えを探り出してみた。
 ・ファッションは主体性を何度も再構成し、アイデンティティ形成に連結する(p.115)
 ・ファッションの仕組みは欲望と主体性とを表現する記号のディスクールが与えられる(p.116)
 ・美意識に合わせた身体の再構成、衣服との一体による新しい意味と自己の形成(p.119、125)
 ・ファッション産業の民主化(p.150)
 ・欲求は分類されないが消費の原動力とみなされる(p.168)、などなど

あなたも、オオカミ少年がオオカミと暮らすうちにオオカミになる(p.168)、ということについて考えてみよう。

目次、章節。索引なし。参考文献あり。原注・訳注あり。ひもなし。