塊
★★★★★
豊かな表現で感動させようとか、誇張して自叙しようとか。
何かを伝えようとか、何かを感じて欲しいとか。
そんなのどうだっていいじゃないか。
厳然たる事実。
著者の心底に鳴り響くすさまじい轟音と巨大な意志。
凄い。
ただ一言だけ。
凄いと思う。
マジで。
数少ない他のレビュ記載者も述べておられますが、本書がより多くの方に読まれることを願って止みません。
down to アメリカ
★★★★☆
高校生の夏休み、慣れない学校生活から逃げ出すように、無計画ままユーラシア大陸を横断した著者。人種や民族が交錯する旅の中、何故か心にひっかかったのは「アメリカ」というキーワードだった。そして高校卒業後、その心の奥にひっかかったままの「アメリカ」に留学することになる。
アメリカで著者が体験した底辺の生活は、なんとなく危険なほうへ危険なほうへと自らむかっていっているような気もしないでもありませんが、そこで見つけた問題と、その問題を何とかしたいっていう思いがその後の人生を大きく開かせていったんだろうなって思いました。そして何よりも著者のコミュニケーションのとり方っていうのか、人との関係の築き方に感服を受けました。あと実際にこんな差別が今の時代にあるなんて驚きました。
新鮮です。
★★★★★
17歳で出たユーラシア大陸一人旅から、アメリカでの留学生活まで。
こう書くとよくある体験記のように思うが、その内容はぶっ飛んでいる。そして真面目だ。
本の中核は、アメリカで彼が送った先住民や移民などマイノリティとの生活。これがその後彼の研究となるのだが、その体当たり感がすごい。生活から始まっているからか、「見てやろう」的な視点がなく、そこが新鮮な感動を与えてくれる。
「アプローチの仕方が違う」などという言葉も当てはまらないくらい、そこでの暮らしは彼の人生そのものだ。それでも、か、だからこそ、か深く広く伝わる何かがある。
多くの意味で圧倒された。
いつの間にか既存の視点にがんじがらめになっていたのかもしれない私の何が、ぱんっとはじけた本だ。
ジュニア新書だが、幅広い年齢の方に読んでもらいたい。