イメージを表現する
★★★☆☆
短歌を紹介しながら、筆者のイメージを言葉にしていく。それを書き続くった本です。短歌の評論ではなく、あくまで筆者の考えに沿ってそれぞれの短歌を解釈しているのだと思います。短歌を鑑賞するのでなく、筆者と対話しているうちに、あたまのなか整理される感じがしました。
日常がドラマに
★★★★★
短歌とはあまり縁のない私でしたが、この本を読むと、歌の心というのは、まさにだれの人生の中にもあるんだなあ、ということがわかりました。
日常が歌に、歌が日常になるきっかけとなる本です。日本人として和歌に親しむ、入門書となるべき本だと思いました。
短歌を手がかりに日常の思いを切り取る
★★★★★
著者は歌人。昨年(2006年)まで、新聞記者として働きながら、歌人としても活動していたが、昨年退社し、創作活動に専念することになった。独立後の第1作がこの『物語のはじまり−短歌でつづる日常』である。
短歌エッセーと紹介されているが、自らの作品をエッセーを交えて紹介しているわけではない。「1、働く」「2、食べる」「3、恋する」「4、ともに暮らす」「5、住まう」「6、産む」「7、育てる」「8、見る」「9、老いる」「10、病む、別れる」の10のテーマ毎に、他の歌人の短歌を引いて、新聞記者的な視点も交え、詠み手の境遇などにもふれつつ、作者なりのそれぞれの歌の読み方を語っている。各歌ごとの解説にも、作者自身ののこれまでの生き様や人柄が透けてみえる。
他の歌人の歌の中に「物語」を見出し、作者自身の「物語」をも語るものであり、私には作者自身の物語の方が、より読み応えがあった。短歌に詳しくなくとも読め、語られるテーマも身の回りのであるが、ふと考えさせられる味わい深いものが多い。