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日本人を考える―司馬遼太郎対談集 (文春文庫 し 1-36)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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35年前、ニート・フリーターの激増を見事に言い当てている ★★★★★
昭和44年から46年(司馬46~47歳)にかけて、文藝春秋誌に1年半に渡って連載された18本の対談から、12本をセレクトしたものである。

社会、宗教、工業、政治、中国との関係、若者気質、言語など、多様な切り口から、日本人のありように迫る。対談相手も、梅棹忠夫、梅原猛、桑原武夫、今西錦司など錚々たる面子で、たいへん読み応えがある。

驚くべきは、35年も前の対談にもかかわらず、現在の日本の状況にもそのまま、当てはまる言説が非常に多い点である。例えば、

・ボタンひとつで生産ができるようになり、働くと生産過剰になるので、何もしない人間が必要になってきた。
・一割が会社に帰属して働き、あとの九割はどこにも帰属しないで、ギターを弾いていればいい時代になる。

という指摘がされているが、35年後の今、ニート&フリーター300万人時代を迎えて、この指摘にうならざるを得ない。

司馬の現代日本への認識は、

食べることに一生を費やした時代が終わり「どう転んでも食える時代」が世界で初めてこの現代日本に出現した

という点から始まる。しかし、これが幸せかというと必ずしも手放しでは喜べない。
なぜなら、することがなくなってしまって、「若い人が全員、個々に生きる目標をもたなければ生きていけないような時代」になったことが、いろいろなところに悪い形で噴出してきているからである。

本書の当時はその噴出し口が学生運動であったが、同じ構図はどうも35年たった今も続いているように思う。いや、若者が熱中できる思想や理想の社会、といったものがなくなってしまったぶん、より悪くなっているのかもしれない。

こうみていくと、現代社会のいろいろな問題の根っこにあるものが見えてくるような気がする。35年も前のものではあるが、本書の価値はいささかも変わらず、むしろより重要性を増しているような気がする。現代を読み解くに必読の古典、といってよいだろう。