中々面白い作品
★★★★☆
最近の藍坊主らしさが存分と発揮しているアルバムになった。
でも、個人的には前作よりシングル曲とアルバム曲の差が出てきたと思う。
ハローグッバイはかなりの名曲。言葉の森も良いが、藤森さんがあの歌詞を書くことに関しては納得がいってない。
言の葉
★★★★★
二人の感覚と言いますか、語感が近くなっている気がします。お互いの個性を吸収して、表面上極端に言えば同じ人が作ったと言っても不思議じゃない。なのに、ちゃんと聴けば二人の個性がある。いいアルバムです。我儘を言えばハナミドリのようにアルバムの曲の流が自然に繋がってまるで一つのようになっていたら個人的には本当に文句はないと思いました。それを差し引いてもいいアルバムなのは事実なので聴いて欲しいですね。
僕は狂ってなどいない
★★★★★
藍坊主、2年ぶりのニュー・アルバム。
はっきり言うが、個人的にこの作品は彼らの最高傑作で且つ、
ギターロックの傑作の一つとして扱っても全然いい作品だと思う。
まず、「空を作りたくなかった」という曲について触れておかなければならない。
それまでは所謂ストレートなギターロックバンドの代表格の一つとして
シーンに存在していた彼らだが、去年の6月に切られたこのシングルは衝撃的であった。
今まではアルバムに実験的に入れられていたようなタイプの楽曲を
研ぎ澄まし、キャッチーで洗練されたナンバーとして放ったこの行為は無駄ではなく、
自分もこの楽曲で彼らに対するイメージが変わったくらい。 実際この楽曲は間違いなくこのアルバムの核になっている曲だと感じる。
この曲は言葉で説明するよりも直接聴いた方が衝撃度が高い。音楽に娯楽以上のものを求める人は是非聴いて欲しい。
で、アルバムについてだが実に「多彩」なアルバムである。何が多彩かというと「歌詞」の世界。
今まで以上に研ぎ澄まされた言語のセンスはとても強烈でインパクトに残る。
例えば「焦燥、混乱、不安定、破壊、核心、絶望、喪失、嫌悪、再生、安定を繰り返し続けてる。」
こんな言葉をなんと丸々一曲のサビに乗せてしまうのである。はっきりいってまともじゃないし、
どこかいびつな感じもするのだが案外これで楽曲が成立してしまう荒業を披露している。
個人的にこれくらいはみだしていた方がロックバンドらしくていいんじゃないか。
またこの作品はアンチテーゼ・アルバムでもある。歌詞の端々に現実を風刺するような言葉や
反骨精神を垣間見れる歌詞の構成になっている。ここら辺もロックバンドとしては魅力的になったと思う。
そして多彩なのは歌詞だけではなくサウンドに関してもそうで、これまでのアルバムとは違い
「藍坊主らしい楽曲」と「藍坊主らしからぬ楽曲」が半々といい感じの構成になっている。
具体的にいうと「羽化の月」という楽曲はむちゃくちゃなコード進行なのだが
これを一曲として聴かせてくれるのだから侮れない。 また、個人的に凄い注目しているのが
「僕は狂ってなどいない」という楽曲。タイトルからしてすごそうな一曲だが
中身のほうはもっと凄い。まるでゴシックパンクのようなビートを刻みながら
「奴隷じゃねえよ、僕の感性は」とか「まともに、生きたい、それだけ」などと必死に叫ぶ楽曲になっており、
しかもマイナーコードなので激情、というよりは情念を感じさせる凄まじい楽曲に仕上がっている。
4作目のアルバムにして、ようやくはっきりとした個性を確立させた作品だと個人的に感じた。
ここから彼らがどんな音楽を作っていくのか、大いに期待したい。
今まで食わず嫌いだった人も、このアルバムで単なるギターロックから抜きん出たと思うので聴いてみて欲しい。
最後に、彼ららしい抜けのいいロックナンバー「コイントス」で素敵な歌詞があったので。
「さあさ そろそろ壊そうぜ 右しか向けない世界。」
ロボット社会に対してのアンチテーゼ・アルバム。彼らの個性を自分は支持する。
此処は森の中
★★★★★
突き抜ける「Esto」「ハローグッバイ」「コイントス」、着地、暖かく「ピースサイン」、存在とはなんですかと突き詰める、突き詰める「僕は狂ってなどいない」「空を作りたくなかった」作中作といいたくなる壮大な世界観を持った「羽化の月(FORESTONE Ver.)」「不滅の太陽」、藤森さん作詞作曲、希望を持たせてくれるラスト三曲「深く潜れ」「言葉の森」「アジサイ」。
これで40分ですか。そんなに短いアルバムだったのか! と聞いた後驚愕しました。
個人的に好きなのが「Esto」「言葉の森」。聞くだけで気分が高揚します。
森林のように壮大な優しさを持ったアルバムが、春の初めに解き放たれました。
減量に成功したボクサーのようなアルバム
★★★★☆
余分なものを削ぎ落として、必要な筋肉を付けた、まるで減量に成功したボクサーのようなアルバムだと思いました。研ぎ澄まされていて、アルバム全体を通して駆け抜けるシンプルなスピード感が非常に格好良いです。ボーカルのhozzyが追求する世界と、ベースの藤森真一が生み出す世界はどんどん違うものになっていくのに、そこが振り子のようにバランス良く共存していて、面白いバンドだなと改めて思う作品です。