幻想的な短編集
★★★★☆
お話はどれも仄かに男色を含みますが、幻想小説的な雰囲気の方が強く、しかも絶妙な短さで心地好い余韻を残してくれます。
特に「花のもとにて」は、大和言葉に託した秘めた想いが切なく、胸を打つ一編です。
「あづない(の罪)」という大和言葉を知ったのも、この一編がきっかけでした。
長野さんの世界パート2って感じです。
★★★★★
まず言いたい。これすっっごい良かったです。
長野さんと言えば、「少年アリス」や「野ばら」等の日本語をギリギリまで磨いた不思議でレトロな世界観が有名ですが、この作品は現代を舞台にした短編集で、「ぼくはこうして大人になる」の感じに似ていて、長野さん初心者の方でも馴染み易いと思います。
個人的には、「空耳」が好きでした。
ソフトな同性愛が好きな方には是非読んで頂きたい、オススメの一冊でした。
透明感のあるお話
★★★★★
長野まゆみの短編集。
それも彼女の短編によくあるファンタジー調のものではなく、主人公の少し不思議な恋愛模様が描かれています。
どのお話もとてもストイックなのに、一方で主人公の一途な気持ちがよく出ていました。
個人的には「海辺の休日」が切なくてよかったです。