心理学畑の人間から見ると，学習理論の理解の間違い，乱暴なまとめかた，発達における一般的でない用語が目立ち，また，簡素すぎたり理解しにくい図があり，医療関係者のための心理学入門書としてはあまりおすすめできない．だが，臨床例の説明も多く，コラムには様々なテーマが詳しく説明されていることや現場経験者の声が書かれている事から，医療関係者向けにはやはりこの本がテキストとしては最も適しているのだろう．難点は，非常に面白いコラムを理解するために間違いの多い本文を読まなければならない事である．授業で用いる場合，間違いはその度に修正する必要があり，学生も混乱しやすい．個人的には改訂版を是非出版して頂きたい．