ひきこもり名探偵&世話焼きワトソン、ふたたび
★★★★☆
気弱で引きこもり気味の音野順と、推理作家の白瀬白夜が
それぞれ、名探偵とワトソン役を務めているシリーズ第二弾。
デフォルメされたキュートでコミカルなキャラ達が、現代ではありながら、
ほんのり、メルヘンな雰囲気が漂う世界観のもと、ミステリしています。
作者の持ち味である、非現実的でファンタジックな物理トリックも、
本シリーズの世界観と釣り合っており、違和感を感じさせません。
作者の狙いも、そのあたりにあるのでしょう。
◆「密室から黒猫を取り出す方法」
◆「人喰いテレビ」
◆「音楽は凶器じゃない」
◆「停電から夜明けまで」
◆「クローズド・キャンドル」
無数の蝋燭が置かれた部屋で発見された、首吊り屍体。
現場は、内側から封鎖された密室状態であったため、警察は自殺と
判断したのだが、突然やって来た、名探偵と自称する琴宮という男が、
他殺を主張した。
ひょんなことから、琴宮に対面することになった白瀬は、音野が事件を解決
できなければ、三千万円支払う、というとんでもない約束をしてしまい……。
いかにも名探偵然とした立ち居振る舞いを見せる新キャラ琴宮。
推理力は大したことありませんが、完全犯罪に対する嗅覚は抜群、という設定です。
本作では、蝋燭を用いた密室トリックの他に、もう一つ、犯人を読者の目から逸らす
味なトリックが用いられているのですが、琴宮の存在も、そのトリックを成立させる、
重要なファクターとなっています。