読んでわかったのだが、友人が言っていた意見は、ある研究者やフェミニストから主張されている。が、真実はわかっていない。この本は、二人の生い立ちから最期まで詩集や手紙等文献を辿って二人の考え方や生活ぶりを描いている。緻密な研究から智恵子抄の深層に迫っており、僕にとって驚きの連続であった。本書では、智恵子の病になった理由については明言をさけて、読者に考えさせるように仕向けている。読後、やはり「智恵子抄」は永遠の愛の詩だと思う人も少なくないだろう。とくもかくにも、この本は「智恵子抄」のすばらしさを再確認させてくれる本である。