この本の感想は日本でのロック評やR&B評とは全く違った視点でかかれていたりするところです。それは「売れ行き」です。黒人差別社会のアメリカでは生きること自体難しいゆえ、音楽を買うことも家計を圧迫し慎重なのだろうか。日本と比べるとかなりシビアに見ているといっていい。
また、現在のR&Bに辟易としてきた私にとってその答えもはっきりして見えるところがいい。簡単に言うと「甘い」のだ、社会の壁が。黒人の音楽業界での評価が上がり、今ではロックをも凌いでだんとつ状態になった今、リックジェームスのような、ジェームスブラウンのようなp‐ファンクのような、マイケルジャクソンのような、プリンスのような、ダイアナ・ロスのような音楽の中でシャープなキレをもった音楽家がいなくてもいい状態が出来上がってしまった。簡単に言うと誰も差別の壁を越えなくていい、のだ。超えなくても一応の評価はもらえてしまう。闘わなくて良いとなるとハングリー精神はなくなっていくだろう。差別がなくなるのは素晴らしいが音楽には悪影響を及ぼす・・・このような指摘もずばりだし、本当に思慮が深い。
いま、ヒップホップが盛んだが彼はエミネムをどう見るか。読めばはっきりすると思う。
当然、ブラック・ミュージックの音楽家がたくさん出てくるのでそれをチェックして購入する手もあるし、ミーハーで終わりたくなければ是非購入してみてはいかがでしょうか。