デキるエリートサラリーマンのオフィスラブ。
2人共美形で実家がお金持ちで……びっくりするほど定番BL設定です。が、美形だ美形だエリートだエリートだ金持ちだ金持ちだと連呼しているわりに、内容も文章も地味なので、読んでいて何のアドレナリンも出ませんでした。皆さん書いていらっしゃるようにこれから段々面白くなるのかもしれませんが、そこまでたどり着けそうもありません（4巻までは読みましたが）。
久遠寺が本田を強姦する過程・理由がかなり滅茶苦茶で、どうしても腑に落ちないので、多分そんな肝心な所が理解できない私には合わない本だと思いました。

１．２巻だけ読むと、そんなにたいしたことない気がして、先を買うかどうか迷うと思うのですが、ところがどっこい、めちゃくちゃ読み応えのあるシリーズです。１巻だけだと、星もせいぜい４つ程度だと思うのですが、巻をすすめていくと、だんだんと１巻の重要度があがってきて、軽く読み流したのを後悔し、２度３度読み直しになること請け合いです。
できるサラリーマンと、魅力ある脇役にかためられて、かなりリアルな会社が描かれています。１２巻で完結するそうです。全巻そろえて、後悔ありません。

実際に職場で忙しく働いている/いた人間には身につまされる小ネタがあちこちに仕込まれていて
---大手商社の若手有能社員である主人公が，ブルジョアな，これまたデキる同僚に押し倒されるという一点を除くと---
「わかるわかる。そうなんだよね～」と頷きつつさくさく読めました。

エセ・エグゼクティプ，エセ・リーマンが跋扈するＢＬ界においては貴重な存在です。

最初は何考えているかわからない唯我独尊傲慢ヤローだった久遠寺(＝主人公を押し倒した張本人)の内面が見えてきた３巻あたりから俄然面白くなってきますので，全巻揃えてから読み始めることを強くご推奨致します。