心をからめとる「こい」の諸相―
★★★★★
本作は、『花宵道中』でR-18文学賞大賞を受賞した著者による連作集。
平安時代前期に生きた藤原高子(清和天皇の妻、陽成天皇の母)を主人公に、
彼女自身と彼女にまつわる天皇や藤原氏の男たち、他の女御
そして、在原業平―
宮廷という閉鎖された空間の中で
それぞれが抱く愛情、羨望、嫉妬、希望など濃厚な感情と
それが「泥」のように人々の心を絡めとる様子を
情感あふれる文章と過去と現在と巧みに交錯させる構成で描いた
とても読みごたえのある作品です。
人物や時代背景について知らなくても
十分に楽しむことのできる作品ですが、
人名事典をそばにおいて楽しむことを強くおススメします☆☆☆