22分58秒の大作『Supper's Ready』に尽きる
★★★★★
1972年10月6日リリース。1972年8月ロンドン、アイランド・スタジオにて録音。初期ジェネシスを代表するアルバムであり、練りに練った曲構成とフィル・コリンズの手足が別人のような演奏(『Watcher of the sky』)と怒濤の変拍子(『Supper's Ready』の最終部分)に支えられた作品である。このアルバムで全英12位を記録したのが多くのジェネシス・フォロアを産んだ原因だろう。
タイトルの『Foxtrot』はどうもこの時トニー・バンクスの使っていたメロトロン・マークIIのテープ・セットにプリセットされていたフォックストロットのリズムから来ているらしい。アルバム・ジャケットの下手上手い絵も最高で(デザインはPaul Whitehead、彼はこの曲を聴きながらこの絵を描いたらしく、『So, I'd hear the lyrics and over breakfast or dinner we would throw ideas around. It was a collaboration... It was a great collaboration!』と言っている。)、このジャケットの表紙に登場している『紅いドレスの狐のアタマの女』は最も初期のピーター・ガブリエルのステージ衣装になっている。
このアルバムでは特に『バッハのチェロ組曲のプレリュード』にインスパイヤされたという12弦ギターによる『ホライズン』をまさに前奏曲のように据えた、22分58秒の大作『Supper's Ready』に尽きると思う。聴かずには絶対死ねない名盤である。
素晴らしい音で甦った!
★★★★★
まず、このリマスター(リミックス)シリーズは全て素晴らしい。
リアルタイムで聴いていた人や、昔からのファンは旧盤のが良いかも知れませんが、新しいファンや比較的最近聞き出した人にはこちらのほうが間違いなく良いです。
私も最近ジェネシスを好きになったのですが99年のリマスター版でさえ音が篭っていて不満でした。それがこの一連のリマスターシリーズではまるで録り直したか?と思うくらいクリアーになっています。少し高いですがフォックストロットをこの高音質で楽しんで下さい!
成功したリミックス(再構築)ヴァージョン
★★★★★
賛否両論うずまく今回のリミックスシリーズだが、この「フォックストロット」はその再構築が最も”吉”と出た例ではないだろうか。格段にダイナミズムとクリアーさの増した別次元作品に生まれ変わりつつ、オリジナルミックスの印象からもさほど乖離していないので、新鮮な感じと音の発見を素直に楽しむことができる。バランスやリヴァーヴの加減も、全体を通して”これはこれでジャスト”的な腑の落ちかたで、うまく纏まっている。個人的には「侵入(トレパス)」も同様にリミックス効果が功を奏しているように感じたのだが、これら二作品の共通点は、ライヴ馴れした演奏の勢いをそのままパッケージングしたようなアルバム作りにあるように感じる。昨今の60〜70年代作品のリミックスは、スタジオの生の音を再現する傾向にあるので(例えばピート・タウンジェンドによる「トミー」高音質盤リミックスなど)、今回のリミックスにしても、ジェネシスがライヴ・バンドとしてのストレートさを押し出しているアルバムほどより成功しているのではないだろうか。そしてその中でもこの「フォックス〜」は出色の出来で、イエスのライノ盤「こわれもの」リミックスに肩を並べるものと言っても過言ではないと思う。
SACDで傑作度アップ
★★★★★
1曲め“Watcher of the Skies”のイントロのメロトロンからもう胸が踊る。
サウンドにはダイナミックさが加わり、プログレとしてのインパクトの点では
本作を次作とともにGENESISの代表作と位置づけることにもうなずける。
バンドとしての黄金期を感じさせる迷いのなさが、ドラマティックな世界観を強固にする。
そしてラストの大曲“Supper's Ready”は、プログレ的な緩急をつけた展開とストーリー性で
聴かせる見事な出来だ。前作、次作とともにGENESISの傑作三部作と呼びたい。
名作だと思いますけどね
★★★★☆
個人的には前作が最高作なのですが、本作のプロデュースをジョン・アンソニーがやっていたら違った意味で面白くなってたかも、と思ったりします。いや、本作は名作だと思いますけどね。