こんな作風?
★★★☆☆
2006年に出た単行本の文庫化。
なんだかこれまでの作品と作風がからりと違う。文藝春秋で書くのに、新たな芸風をと思ったのだろうか。
内容は、青春小説っぽい。とある事情からカンニングをしなくてはならなくなった少女を、仲間たちが助けていくという筋立てだ。
いろいろなカンニングの方法が登場し、けっこう面白い。最先端の技術も盛り込まれているし。カンニングを見破り、防ぐ側の話も楽しい。
ただ、ストーリーとしてはいまいち不満を残す。割り切れなさがあるというか。カンニングする目的が納得できないし、真相もこれでは。
青春小説としては楽しめるが・・・
著者の持ち味である大仕掛けがないのも残念だった。
悪くは…ない、かも。
★★★☆☆
カンニングということに焦点を置くか、青春小説的な読み方をするか、
によって評価は変わりそう。
安室奈美恵が出てたカンニングの映画をなんとなく思い出しました。
リアリティの欠如
★★☆☆☆
コンゲームといううたい文句にひかれて購入しましたが、正直拍子抜けでした。
一言に纏めると、のびた君がドラえもんやジャイアンやできすぎ君の助けを借りてテストに挑むって感じです。
そして試験本番の英語テストの場面では33分探偵を思い浮かべました。
終盤は特に、無理だろ、それ、と突っ込みを入れても入れても、ページをめくる度に新たな突っ込みどころがあり、最後は疲れ果てました。
コンゲーム的要素を期待しての購入はお勧めできません。
ミステリーも期待しない方が無難かと思います。
ただ読みやすい文体と人間関係の描写には好感を覚えました。
次はもう少し説得力のある話を書いてくれればと思います。
軽く読むには良い作品
★★★☆☆
カンニングで大学入試に挑む主人公と、彼女に協力する個性豊かな仲間たち。
様々なアイディアとハイテクを駆使したカンニングの数々。不正が露見してしまうのか?というスリリングな展開。定期試験、模試、本試験と、クエストをクリアしていくゲームみたいな面白さもあります。
やってることは不正行為なわりには、爽やかで微笑ましい青春モノに仕上がっており、読後感も良いです。
ただ、設定に無理があったり、ご都合主義的だったりする場面が多いのが気になります。主人公が何がなんでもこの大学に入学しなくてはならないと考える理由の部分でいきなりクエスチョンマークが浮かびました。
そんな細かいことが気にならないようなギャグ小説にしてしまった方がいっそ良かったのかも。コメディとして映像化されたら面白い作品になりそうな題材ではあります。
読後感はよいも,いろいろと違和感が残る
★★★☆☆
06年04月の単行本を文庫化した作品になります.
学生側と学校側のカンニング合戦を描く『コンゲーム小説』という事になっていますが,
多くのカンニンググッズが登場する割に,それらの準備や具体的に使われる場面は少なく,
『カンニング少女』の内面が描かれるばかりで,緊張の騙し合い…という点で物足りません.
そのため,どちらかと言えば少女を中心とした学生たちの友情,青春の物語といった印象です.
ただ,少女がカンニングを行う動機はともかく,理由についてはかなり無理を感じますし,
終盤になり少女が真実に気付く場面にしても,あまりに不自然な流れでしらけてしまいます.
個性的なメンツのカンニング仲間たちも,その『特徴』を生かし切れているとは思えませんし,
不正を目の敵にする人物も,ワケアリのように描いておきながら消化不良で終わるのが不満です.
ほかにも,真実に絡むちょっとミステリっぽい『トリック』も,強引な流れのおかげで今ひとつ….
学生たちの明るいノリは読みやすく,終盤から結末へのキレイな流れはよい読後感がありますが,
実際にはいろいろと違和感の残る内容で,せめて終盤だけでも丁寧に畳んでほしかったところです.