インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

劇画漂流 下巻

価格: ¥1,680
カテゴリ: コミック
ブランド: 青林工藝舎
Amazon.co.jpで確認
劇画黎明期を描いた自伝劇画の傑作 ★★★★★
 氏の作品で初めて読んだのは漫画文庫版の短編集「コップの中の太陽」でした。
 当時劇画はさいとうプロやスタジオシップ(現小池書院)、そして池上遼一さんと言う先入観が合った私には氏の作品は宣伝文句の「劇画の祖」と言う名の割りに非常に地味で寡黙に映り、違和感を覚えて気に入りませんでした。
 しかし、本作を読んで、氏が大切にする作品内の間と、登場人物に派手なデフォルメを施さない手法がこの地味な良作では大変効果的である事が判り、己が不明を恥じました。

 「劇画というジャンルがいかに試行錯誤の末に生まれたか」というメインテーマ以外にも、まだ医学生ながら漫画界に旋風を起こしていた若き頃の手塚治虫氏の漫画少年達に向ける暖かく熱い態度、新人時代のさいとうたかを氏の尊大だがどこか憎めない大物振り、新しき才能に追い立てられるベテラン作家達の苦悩、作家と出版社の愛憎欲得入り混じった駆け引き等が描かれており、実に興味深かったです。

 ただ、唐突に60年代安保で終了してしまい、貸本漫画業界の真の衰退と、劇画がなぜさいとうプロ等に主導権が移り作者本人は傍流になって行ったかと言う点が描かれていないのが残念です。続編を是非とも希望致します。

P.S.水木しげる氏の眼鏡のサラリーマンのモデル、桜井昌一氏を実弟が描くとどうなるかを見る事が出来ます。
劇画工房の立ち上げと消滅 ★★★★★
ここまでの完成に実に12年の歳月がかかっているのであるが、こうやってまとまったものを読むと面白くて一気に読ませてしまう。巻末の解説の中野晴行氏によれば、この後自ら貸本マンガの出版に乗り出した勝見ヒロシの孤軍奮闘と、つげ義春らとの交流、そして遂に滅んでいく貸本出版界まで描く予定だったらしいが、なんとか著者を説得して続編を書いてほしい。

トキワ荘に一つの漫画家たちのたまり場があったように、国分寺にも劇画家たちのたまり場が存在したことはもっと知られてもいいと思った。
貸本屋時代が懐かしい ★★★★★
貸本屋を盛んに利用した世代には、作り手達の苦労がよく分かって興味深い。マガジン、サンデー創刊以前の、苦悩する漫画家達が登場している。その個性もうまく表現されている。かなりの長編なので、途中に少々不要をエピソードをあるかなとの印象もあるが、全体としては、満足のいくものでした。