これでミステリを名乗るのはひどい。3分の1も読んでいないが、もういい、読まない。古本屋行き。時間をつぶすならもっと面白いことはいくらでもある。
同じジャンルで有名なものに『5分間ミステリー』シリーズがあるが、
私はこちらの『2分間』の方が好き。
理由としては、まず、登場人物が決まっていること。
ある意味連作ともいえるだろう。
毎回の謎を解くのは高名な犯罪学者のハレジアン博士だが、
1話ごとにモナハン保安官やキンブル保安官、ウィンターズ警視といった警察官ほか、
自称プレイボーイだがいつも最後にへまをするシリル・マーキン、
博士とデートしては回想という形で謎解きに付き合わされるオクタヴイア、
一攫千金を夢見てはことごとく詐欺に引っかかりそうになるバーティー・ティルフォード、
博士をひっかけようといたずらを仕掛ける有閑マダムシドニー夫人など、
脇役の個性と特徴がはっきりしすぎるくらいはっきりしている。
それが、ともすれば味気なくなってしまいがちなこの手の短いパズル・ミステリに、
多分に彩を与える結果となっているのだろう。
ただし、同著者の児童向けミステリ『少年探偵ブラウン』と、
内容的に全く同じ謎解きが多用されているので、
それをどう感じるかは読む人それぞれだと思う。
寝る前に2〜3話謎解きを楽しむには、申し分ないシリーズである。
70あまりの譚には、他にもかつて「少年探偵ブラウン」で使われたのと、まったく同様のトリックによる譚が見受けられ、ソボル氏が「少年探偵ブラウン」とどちらを先に書いたにせよ、こうまで平然と同じ手をひねりなく繰り出されると、ちと首を傾げたくなります。たくさんの話を産み落とさなければいけない苦労は分かりますが・・・。
「少年探偵ブラウン」を未読であれば、それなりに読めると思いますので★をひとつ加えて下さってもいいです。ただ、ミステリのショートショートとしてみても傑作が多いとはいえないので、電車や待ち時間のお供とするのがいいのではないでしょうか。
続編も出ていますが、私はむしろ「少年探偵ブラウン」を読み返したくなりました・・・。