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テス 上 (岩波文庫 赤 240-1)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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とても今では読むに耐えない ★☆☆☆☆
この小説は昔は「大衆文学全集」に入っていたりしたのだが、ハーディが古いものとされて読まれなくなる中でもなぜか生き残っているし、ポランスキーも映画にしたりしたが、やはりつまらないものだ。要するに由緒正しい家柄の娘が誤って処女を失ったというだけの話であって、とても今では読むに耐えないが、こういう話にリアリティーを感じる人もいるのだろうか。
逆らえない運命 ★★★★★
そんなに沢山の作品を読んだわけではありませんが、Thomas Hardyの小説は人間は運命に逆らえないものだという共通する主題を感じさせます。それが日本人の感性に合っているのではないでしょうか。

この小説も主人公のTess、今は貧しい農民ですがかつての貴族の末裔であるD'Urbervilles家に生まれた娘が、遠縁の親戚と思われたが実は系図を買った成り上がりの金持ちの家に奉公に行くところから始まります。歴史好きの牧師が父親に彼女の家の言われを話さなければ、Tessもそういう人生を送らずに済んだかもしれません。

奉公先の女ったらしの息子の子供を身ごもり、その後も色々なことが関連しあって彼女の身の上に様々なことが起こります。Tessの純粋さ、運命の惨さ。涙無しには読めませんでした。若かりし頃のナスターシャ・キンスキーが主演の映画もお薦めです。
純粋な女 ★★★★★
この小説の副題は「純粋な女」です。今でこそ、結婚前に処女を失うことは許されますが、作中、小屋に赤いペンキで書かれた「汝犯すなかれ」からわかるように、キリスト信者からすれば大変な事でした。
そのような大罪を犯し、殺人まで犯すようなヒロインのテスが何故「純粋」なのか?ここを読み解いて欲しい。
彼女の不幸を辿って行けば行き着く先は家庭にある。彼女の運命は作品の冒頭、或いは家名に寄って予め決まっていたということを御理解戴けると思います。ハーディは読みづらい、風景描写や語りがしつこいと思われがちですが、言葉とは裏腹に内容はシンプルです。原因―結果、この構図だけ頭に置いて頂ければ、この小説を十分理解出来ると思います。
じっくりと、かみしめて。 ★★★★★
これは逃れようのない数奇な運命を辿ることになるテスの物語である。

もし、あの道で反対の道を選んでいたら・・・。すべて見せ掛けだけの選択肢。予定調和のごとく消化されていくテスの人生。

まったく救いがないわけではない。ただ、幸せなときがどれほどあったのかと考えると哀しくなる。

ハーディの傑作! ★★★★★
ハーディの五大悲劇の中でも最高傑作と言われているものです。美しく純粋な女性テスと、当時の典型的な懐疑主義の青年エンジェル・クレアがヴィクトリア朝の歪んだモラルに翻弄される姿を描きます。彼女が家族を救うべく仕えた主家の息子に処女を奪われ、そこからテスの運命の歯車が狂い出します。社会の偏見と向き合い精神的に脱皮していくテスと彼女のエンジェルに対する自己犠牲的とも言える愛の深さがとても心に残りました。テスの不遇な人生には最後までドラマが待ち受けており、ラストの光景が頭に焼き付いています。